約 969,021 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6359.html
京太郎「ナンパしたのに結局やり込められた気がする……大阪恐るべし」 京太郎「ターゲット変更……次はあの子にするか」 京太郎「おねーさーん、俺と一緒に飯でもどうですか?」タッ 雅枝「すまんなお兄さん。急いどんや、ナンパなら他あたってな」タッタッ 京太郎「そんなツレないこと言わずに……」 雅枝「ほんま勘弁したってな」タッタッ 京太郎「ちょっとだけ、ちょっとだけでいいですから」 雅枝「やからアカン言うとるやろ。何度も言わせんといてや」クルッ 雅枝「帰ったでー」 洋榎「おけーりーオカン」 絹恵「お帰りオカン」 雅枝「ご飯つくっとる間、そこでゆっくりしとき」 京太郎「は、はい……」 洋榎「………」 絹恵「………」 京太郎「………」 京太郎(こっ、子持ちぃぃ!!?) 洋榎「誰やねんアンタ」 絹恵「いきなりアンタは失礼やでお姉ちゃん」 洋榎「せやけど見てみー絹、コイツ……」ジー 洋榎「如何にもナンパ顔しとるで」 京太郎「な、ナンパ顔!?」ガーン 洋榎「じょーだんじょーだんや!あのオカンが連れてきたんや、そんなはずあらへんもんな!」 絹恵「……」 洋榎「ん?どないした絹、そんな顔真っ赤にして」 絹恵「ねぇ、お姉ちゃん……この人私がもろーてええんやろか?」 洋榎「は?」 絹恵「どないしよーお姉ちゃん!私、この人に惚れてしもたわ……」 洋榎「んな!?」 京太郎「!?」ギョッ 洋榎「ア、アホ抜かせ絹!どないしたんや!?」 絹恵「そう言われて分からへんわ!ただ、この人見た瞬間心臓がめっちゃはよーなったんや……」 絹恵「これまさか恋……」 洋榎「ちゃう!そんなチョロいでアカンで絹!!」 雅枝「アンタらご飯できたでー。テーブルのうえのモン片しといてや」 洋榎「ああ、ちょうどよかったオカン!」 雅枝「騒々しいなー、いつものことやけど。どないした?」 洋榎「絹がこのボンクラに惚れたとかアホなこと抜かしとるんや!なんか言ったってーな!」 雅枝「……なんやて?」 雅枝「ええことやん」 洋榎「は?」 雅枝「娘が恋愛するんは親としても嬉しいんやで?」 雅枝「オトンは怒るかもしれへんけどなー」 洋榎「なんでやねん!絹はそれでええんか!?」 絹恵「ええよ」ポッ 洋榎「…」 京太郎「ほうほう」 京太郎(俺はこのお姉さんを狙っていたつもりがいつの間にかその娘さんに狙われてしまったと?) 京太郎(ええー…なんだそりゃ) 洋榎「もー分かった!分かった認めるわもう!」 洋榎「で、お兄さんは絹の言葉に何て返事するんや?」 京太郎「!」ビクッ 洋榎「……妹泣かせたら許さへんで?」 雅枝「同感や」 絹恵「お、お姉ちゃん!オカンも!」 京太郎「って今しなきゃダメなんですか!?」 洋榎「当たり前やん。男なら決めるトコ決めんかい」 京太郎(んな無茶な……くっそもうヤケだ) 京太郎「じ、じゃあ……」 京太郎「それじゃ……」 絹恵「…」ビクッ 京太郎「お願いします」ペコリ 絹恵「……!」 絹恵「ほ……ほんまに?ええの?」 京太郎「はい。俺も最初はちょっと圧力かかってたんでヤケだったんですけど」 京太郎「絹恵さん?よく見ると美人だしさ」 絹恵「はうっ」カァァ 京太郎「それに、関西弁の彼女って、なんか可愛いじゃないですか」ハハ 洋榎「それうちも入るんかなー?」ワクワク 雅枝「よかったな絹。幸せになるんやで」 絹恵「うん!めっちゃ嬉しい!」 京太郎「はは……」 京太郎(大阪に遊びに来たつもりがおかしなことになったな) 京太郎(ま、まぁ結果的にナイスバデーな女の子と付き合えるようになったんだしいいか!) ―――――――― ハギヨシ「と、いった様子になっております」 透華「……なるほど」 ハギヨシ「いかがなさいますか?透華お嬢様」 透華「愚門ですわね。決まっていましょう」 透華「人の物に手を出すことがどんな報いを受けるのか……」 透華「そのお方には身を持って知ってもらいますわ」 ハギヨシ「かしこまりました」 透華「ハギヨシ、お金に糸目はつけませんわ。あらゆる組織にアポを取りなさい」 透華「解剖して薬漬けにして機械で弄ってすり潰してドロドロになるまで」 透華「いやそれでも足りませんわね…」ブツブツ ハギヨシ「…………」 ハギヨシ(私は透華お嬢様の忠実な執事……そこに一切の感情を入れることなど愚の骨頂) ハギヨシ(し、しかしあまりにこれは…いかがなものでしょうか) ハギヨシ「かしこまりました……透華お嬢様」 ハギヨシ「では名のある者を五名ほど用意し向かわせます」 ――――――― ―――――― 絹恵「なぁ、京太郎いつまでこっちおれるん?」 京太郎「一週間滞在予定なので、あと五日ですね」 絹恵「あとたった五日なんか……さみしくなるなぁ」 京太郎「大丈夫ですよ。またすぐに会いにきますって」 絹恵「ほんまに?」 京太郎「本当に」 絹恵「……そっか!なら次会う時まで寂しくないように」 絹恵「五日のうちにできることたくさんしとかへんとな!」 京太郎「はい!」 黒服「突然ですがすいませんそこのお二方、ちょっとよろしいでしょうか?」 絹恵「え?」 京太郎「?」 黒服「いや、厳密にはそこの女性に用があるのですがね」 黒服「……ちょっと死んでもらえないかと」ギラッ 京太郎(ナイフ!?) 絹恵「!」 京太郎「っ!危ない!!」 絹恵「ふん!!」ボッ 黒服「うげぁッ!!」 絹恵「いきなりなにすんねんボケ」バキッ 絹恵「あぶないやろー!!」ガッ 黒服「がッ!!」 京太郎(お、女の人の脚力じゃない) 京太郎(……ムエタイでもやってたのか?) 京太郎「き、絹恵さん……もうそれぐらいでやめてあげてください!」 絹恵「はあ!?」 京太郎「その人、もう半分ぐらい死んでますよ!」 絹恵「………!」ハッ 絹恵「ご、ごめんなさい!私……」 京太郎「いいんですよ。絹恵さんが無事なら俺はそれ以上なにも言いません」 黒服「……」 絹恵「そ、それでコイツどないしょーか」 京太郎「とりあえず縛って交番の前に置いときましょう」 絹恵「せやな………にしても怖かったわぁホンマ」 京太郎(俺はあなたの方が怖かったですがね。これからは絹恵さんは怒らせないようにしておこう) 絹恵「送ってくれてありがとな京太郎」 京太郎「今日はもう絶対家から出ちゃダメですよ!」 絹恵「分かっとる。心配性やなー京太郎は」 京太郎「あんなことがあった後じゃ心配になりますって……」 絹恵「大丈夫や、ちゃんと守るから安心し。京太郎はほんまにウチに泊まっていかんでええんか?」 京太郎「流石にそれはちょっと」 絹恵「お姉ちゃんもオカンもええって言ってるで?」 京太郎「お気持ちだけ受け取っておきます」 絹恵「むー」 京太郎「明日の朝一番に迎えに行くんで、それで勘弁してもらえませんか?」 絹恵「……絶対やで!嘘ついたら針千本のますで!」 京太郎「絶対に迎えに着ます。約束です」 京太郎「………」 トントン 京太郎「?」 純「よっ!」 京太郎「い……井上さん!?どうしてここに!?」 純「詳しい話は後だ!とにかく今は長野に戻って来い!」 京太郎「へ!?どうして?」 純「だから詳しい話は後だ!とりあえず今は素直にコッチ戻ってきてくれねーか?」 純「お前が長野に戻って来ればあの子の命は絶対に保障する。それは絶対だ!」 京太郎「……なんでその事を!」 純「はい、か、いいえか早く選べって!!時間がねーんだ!」 純(こんなことやってるって透華にばれたら……) 京太郎「……お、俺は」 京太郎「……分かりました」 純「よし、そんじゃすぐに!」 京太郎「でも連れて行きたい人が……二人程いるんですが」 純「……」 純「お、おい…まさかとは思うがオメー!」 京太郎「絹恵さんと洋榎さんを龍門渕に連れて行っていい条件なら、行きます」 純「はぁぁぁぁぁぁぁ!!?」 純「ばっか言ってんじゃねーよ!んなこと!」 京太郎「ダメなんですか?もしダメなら理由を教えてください」 純(そりゃ透華がいるからに決まってんだろーが!) 純(そんな火にガソリンぶちまけるような真似してみろ……終わりだぞ) 純(いや待て……コイツのいる前で透華もそう派手には動けない筈だ) 純(木を隠すなら森の中って表現はどうかと思うが……そう考えたら逆に安全なのか?) 京太郎「井上さん?」 純「……わーったよ。連れて来い」 京太郎「!」 純「ただし、ちゃんと親を説得できんならな」 ――――――――――― 京太郎「というワケで、娘さんを僕にください!」 雅枝「…」 絹恵「ええええーーーー!!帰ったんじゃなかったん!?」 京太郎「気が変わりました」 洋榎「おいコラナスビ!絹はまだ高校生やしお前も高校生やろ!」 京太郎「あとできればお姉さんもください(安全の為に)!!」 雅枝「――」 絹恵「――」 洋榎「へっ?」 京太郎「俺、お姉さんの事も絹恵さんと同じぐらい大事に思っています!」 京太郎「だからお願いします!長野まできてください!」 絹恵「……お姉ちゃんどういう事やねん?」 洋榎「し、知らんわ!こんのパツキンてきとー言うなや!」 洋榎「オカンなんか言ったれ!!」 雅枝「せやなぁ……」 雅枝「二人にそれぞれ平等に愛情を分けることができるならええよ」 洋榎「アホちゃうかアンタ!絹はそれでええんか!?」 絹恵「……ええで私は」 洋榎「なっ!」 絹恵「麻雀は勝てへんけど……女としてお姉ちゃんに負けてる部分はあらへんもん私」 洋榎「おっ?」カチン 京太郎「お姉さん」 洋榎「なんや!?今取り込み中」 京太郎「俺は十分洋榎さんは魅力的だと思います。どうしてもダメですか?」ガシッ 洋榎「うっ……そ、そないな眼でみても」 洋榎「はぁ、しゃあないなー……そこまで言うなら」 京太郎「言うなら?」 洋榎「妹を守るのも姉の役目や。ついてったるわ」 絹恵「お姉ちゃん……」 洋榎「見とけや絹?さっきの言葉撤回させるからな!」 絹恵「じゃあ早く彼氏つくらんとなぁ」クスクス 洋榎「おぅ、表でろコラ」 雅枝「こんな娘達やけど、よろしく頼むで」 京太郎「はい。任せてください」 雅枝(できれば私も行きたいんやけどな……最近部活の生徒が倒れたりやらで忙しゅうてかなわんわ) 雅枝「ほな、確かに預けたでお兄さん」 ―――――――――― ――――――――― ―――――――― 咲「お帰り京ちゃん、久しぶりだね」 京太郎「おう咲。一週間ぶりだな」 咲「大阪はどんなトコだった?」 京太郎「そうだな、一言で言えば……混沌?」 咲「な、なにそれ?」 咲「……あ、そう言えば今日大阪から二人転校生が来るって!すごい偶然だね」 京太郎(帰りに井上さんから聞いたけど……絹恵さんが誰かに命を狙われてるって話も大概だけど) 京太郎(まさか透華さんが俺のこと好きだったなんてなぁ……) 咲「京ちゃん?」 京太郎(あんな可憐なお嬢様が……) 京太郎(……っといかんいかん!俺には彼女がいるんだ!) 咲「ねぇ、京ちゃん?まさかとは思うけどさ」 咲「あっちで彼女とか作ってないよね?」 京太郎「!?」ビクッ 咲「どうなの?」 京太郎「ど、どうしてそんなこと聞くんだよ?」 咲「京ちゃん前に時に言ったよね」 咲「"眼が離せない幼馴染がいるから女の子とは付き合わない"って」 京太郎「……言っ…たな」 京太郎(うわぁぁぁーーーしまったぁぁーー!んな事言ったのすっかり忘れてたぁぁー!!) 京太郎「えっと、それはだな咲!」 京太郎(な、なんて説明すればいいんだ!?) 咲「……ふふっ」 咲「あはは、ごめんね京ちゃん。ちょっと反応面白くてからかっちゃった」 京太郎「えっ?」 咲「本当は私だって分かってるよ。京ちゃん優しいからそういう事言ってくれたんだって」 咲「それに私は京ちゃんの一ファンに過ぎないからね」ニコッ 京太郎「………」 咲「さ、早くいこ京ちゃん!遅刻しちゃうよ!」 京太郎「咲は俺の事、どう思ってるかしらないけどさ」 京太郎「俺は咲のこと……」 京太郎「大事な"友達"だと思ってるよ!」 咲「……はぁ」 咲「友達、なんだね」ボソッ 京太郎「え?」 咲「ううん、なんにもないよ。早くいこう」 京太郎「いやでも今なにか言ったような……」 咲「いいから!!」 京太郎「うお!」ビクッ 咲「……ごめん。怒鳴っちゃって」 咲「私、先に行くね」タッ 京太郎「あ、おい咲!」 教師「であるからして、恋に狂った少女たちは男を呪ってー」 京太郎(ビックリした……あんな咲みたの初めてだな) 京太郎(はぁー、授業にも全然集中でじきねーし誰かに相談してみるか) 京太郎「天江さん」 衣「うにゅ?」クルッ 京太郎「お久しぶりです」 衣「おお、きょーたろーではないか!」ピョーン 京太郎「うおっと」ガシッ 衣「お前がいない間、ずっと衣は無聊を託っていたんだぞー」スリスリ 京太郎「……あの、天江さん」 衣「なんだ?」クンクン 京太郎「ちょっと相談したいことがあるんですけど、いいですか?」 衣「なるほど、友達と言ったらその娘は憤慨したと」 京太郎「はい……それでなんで怒ったかは俺には分からなくて」 衣「むぅ、衣は友達と言われたら喜ぶが……」 衣「すまない京太郎。衣には少し分からない」 京太郎「はは、いいんですよ。聞いてくれただけでもすっきりしましたので」 京太郎「今日はありがとうございました、じゃあ俺はこれで」 衣「気にするな。またいつでも来るがいい」 衣「………」ハッ 衣(待て。せっかく二人きりになれたのに、このまま帰していいものか……?) 京太郎「……」スタスタ 衣(千載一遇とはまさにこの事!かくなる上は) 衣「……待て京太郎!」 京太郎「?」 衣「その、衣は……衣は京太郎が好きだ!」 京太郎「はは、俺も天江さんのこと好きですよ」 衣「そういう好きではないのだ!」 衣「衣は一人の女として京太郎が好きなんだ!」 京太郎「えっ」 衣「一目惚れなどどいう言葉、信じてなどいなかったが……まさか自分自身が体験することになろうとはな」 京太郎「ちょ、ちょっと待ってください!」 京太郎(こ、告白は嬉しいけど俺には絹恵さんという大事な彼女がいるし) 衣「自分で言うのもおかしな話だが衣はそんなに気が長いほうではない」 衣「だから、今この時返事が欲しい………どんな返事でも衣は後悔しないから」 京太郎「……」 京太郎(変な事考えずに断るしか……変な事考えるなよ俺)ドキドキ 京太郎「さすがに三股は……」 衣「…」 京太郎「!」ハッ 衣「大層、荒唐無稽で面妖な単語が聞こえた気がしたのだが」 京太郎「い、いやいや!今のはちょっとした冗談ですって!」ハハ 衣「……」ジーッ 京太郎「うっ」 衣「……」ジトー 京太郎「す、すいません!実は俺他にお付き合いしてる女性が二人います!」 衣「……やはりか。あくまで机上の空論だったで外れてほしかったのだが」ハァ 京太郎「やはり?」 衣「なんとなくだが分かっていたよ」 衣「衣と透華が惚れたんだぞ?そんな男を他の女が放っておくものか」 京太郎「それは買い被りすぎじゃ……」 衣「一応聞いておきたいが、に誰と誰と付き合っているんだ?衣の知ってる者か?」 京太郎「ええと、どうなんでしょう?一人は愛宕絹江さんっていう大阪で知り合った人なんですが」 衣「愛宕絹恵か……衣は知らないな」 京太郎「もう一人は」 京太郎「大阪の姫松高校の監督さんです」 衣「監督!?大人とまで付き合っているのか?」 京太郎「はい……最初はただ連絡取り合う関係だったんですど、いつの間にか遠距離恋愛になってました」 衣(透華や衣、清澄の黒糖だけでなく短期間に西にまで手を伸ばしていたとは……) 衣(なんと恐ろしき魔性の男よ。衣ですら背筋が凍る) 京太郎「まぁ、三股でもいいのなら天江さんともお付き合いできますけど」 衣「なっ!」 京太郎「あっ、ちなみに三股なのは黙っててくださいね?こればれたら色々とまずいので」 衣「冗談じゃないぞ!衣は京太郎が他の女と仲睦まじくしてるところなど見たくない!」 衣「京太郎は衣だけの京太郎がいいんだ!」 京太郎「んー……そう言われてもなぁ」 京太郎(ここにも困ったお姫様が一人か。でも確かにそこまで好きになってくれるのは嬉しい) モブ「あ、こんなとこにいた須賀くん。おーい!」 京太郎「?」 衣「誰だお前は!今衣と京太郎は大事な話を!」 モブ「ハンドボールの遠征先決めるから、至急集合だってさ!」 京太郎「な、なんだって……!?」 京太郎「じゃ、じゃあ!全国の強い奴らと戦えるのか?」 モブ「うん!」 京太郎「……」 京太郎「……天江さん」ユラリ 衣「な、なんだ?」 京太郎「すいません、俺……」 京太郎「1にハンドボール、2にハンドボール、3に恋愛なので」 京太郎「この話はまた今度じっくり!」ダッ 衣「ふぇ!?」 京太郎「よっしゃーーー!ワクワクしてきたぞーーーーー!!」 衣「……」 衣「……衣、なにか悪いことしたのかなぁ?」グスッ ―――――――― 京太郎「で、遠征先ってどこよ?」 モブ「聞いて驚いてね。去年全国優勝した」 モブ「白糸台高校」 京太郎「!?」 モブ「なんでも、今年も前人未到の全国3連覇を果たそうとしているらしいよ」 京太郎「……ああ、知ってるぜ」ゴクッ 京太郎「ハンドボールやってる奴なら誰でも知ってる絶対王者校……!」 ――――――――― ―――――――― 顧問「相手は全国王者だ!だが胸を借りる気持ちではなく倒すつもりでいけ!」 京太郎「おぉ!!」 オオーー!! 京太郎「疾きこと風の如く」 ナンダアレ ハエー! 京太郎「侵掠すること火の如し!!」 ネットツキヤブッタゾ!? 京太郎「動かざること山の如く」 ディーフェンス!! 京太郎「動くこと雷霆(らいてい)の如し!!」 キエタ!? 京太郎「フハハハハハハ!!」 誠子「全国王者がこうもあっさりやられるなんて……」 淡「す、すごい……すごいよあいつ!!」」 菫「ハンドボールやれよ」 照「………」 淡「ねぇテルー!あいつやばくない!?」 照「……」ポー 菫「おい」 コレガ ゾーンカ!? 照「!」ハッ 照「……別に」 イヤチガウ!コレハ…? 淡「はっはーん」ニヤニヤ 照「な、何?」 テ,テンイ ムホウノ キワミダ!! 淡「さては……惚れたね?」 照「っ」カァー 淡「おお!テルーでもそんな顔真っ赤にするんだ」 菫「よせ淡」ポコッ 淡「いてっ」 菫「照、恋する乙女になるのはいいが分かってるな?」 菫「部長としてじゃなく友達として言うが、三連覇がかかった大会前に変な気は起こすなよ」 照「……」 照「分かってる」 菫「まぁ、そうか。そんな事お前が一番分かってるよな」 菫「変な事言ってすまな……」 照「だから私、麻雀辞める」 誠子「!?」 尭深「!?」 淡「えっ…」 菫「……おい」 菫「冗談でも言っていいことと悪いことがある。誰に聞かれてるか分からんぞ?」 照「冗談なんかじゃないよ菫。私本気だから」 照「麻雀にさえ縛られなくなったら私、あの人と仲良くしてもいいんだよね?」 菫「……」ガッ 照「殴りたいなら殴ってもいい」 京太郎「やっぱり楽しいな、ハンドボール。後半も頑張ろ」 ギャーギャー 京太郎「ん?なんだ騒がしいな?」 菫「お前にとって……照にとって麻雀は!そんなものだったのか!?」 誠子「待ってください菫先輩!暴力は……!」 京太郎「えええーーーー!」 京太郎「うわわわ!!ちょ、ちょっと待った!!」 バキッ 京太郎「ふごっ!?」ドサッ 照「!?」 菫「なっ!」 京太郎「いてて……」 京太郎(女性って普通平手じゃないのかよ!奥歯何本か折れたぞ!) 淡「さっきのパツキン!?」 京太郎「事情は知りませんが喧嘩はダメですよ。それも女性同士でなんて」 尭深「血が…!」 京太郎「大丈夫ですって、こんなもん唾をつけとけば治りますよ」 菫「な、なんと言ったらいいか……!本当にすまない、今すぐ保健室に」スッ 照「触らないで」バシッ 菫「っ!?」 照「この人に触らないで」 菫「……」 照「立てる?」 京太郎「なんとか……フラフラしますけど」 照「一緒に保健室行こう。私が支えて行く」 京太郎「すいません、ご迷惑おかけします」 菫「……私は部長失格だな」 誠子「そ、そんなことないですよ!なぁ大星!?」 淡「えっ?私?……あ、ああ!そーですよ菫先輩!」 尭深「!」オロオロ 菫「いいんだ。そんな気を使ってくれなくても」 京太郎「いたたたっ!」 照「ごめん。痛かった?」 京太郎「い、いや……ちょっと消毒が沁みただけですから続けてください」 照「分かった、なるべく優しくする」グリグリ 京太郎「いででででっ!!」 京太郎「それで、どうして喧嘩なんてしてたんですか?」ヒリヒリ 照「……話すと長くなる」 京太郎「あっ、無理に言わなくてもいいですよ。俺は所詮部外者なワケですし」 照「ごめんなさい。それと………できるなら菫を責めないでほしい」 京太郎「すみれ?」 照「君を殴った人」 照「だけど悪いのは全部私だから。菫は何も悪くない」 照(ただこの人に触ろうとした時は許せなかったけど……) 京太郎「責めるも何も、俺が勝手に割り込んだだけじゃないですか。だからあなたも悪くありませんって」 照「でも私があなたを傷つけてしまったことは事実。何か償いをさせてほしい」 京太郎「いや本当にいいです、悪いのは俺なんですから」 照「………」ジッ 京太郎「うっ」 京太郎(そんな事言われてもパッと思いつかねぇよなぁ……んー、それじゃ) 京太郎「腫れが引くまでそばにいてくれませんか?」 照「……そんなことでいいの?」 京太郎「はい。そんなことで十分嬉しいです」 照「分かった」 京太郎「……」 照「……」 照「お菓子食べる?」 京太郎「すいません、口の中が血だらけなので食べれません」 照「あ…そっか」 照「じゃあ、何か本読む?面白い小説あるけど」 京太郎「俺アウトドア派なんで本はちょっと……ごめんなさい」 照「……」 照「……えーと」オロオロ 京太郎(かわいいなこの人) 照「好きです、付き合ってください」 京太郎「……」 照「あっ」 京太郎「……はい?」 照「……」 京太郎「ジョークですよね?そうですよね?はは、もう意地が悪いなぁ!」 照「……うぅ」カァァ 京太郎(えええー……ジョークの反応じゃねーぞコレ) 京太郎「え、えーと……」 京太郎「いや、無理かな」 照「っ!」 京太郎「いきなりってのもありますけど……」 京太郎「あなたのこと、ちょっとそういう風には見られません……すいません」 照「……そう」 照「ごめんなさい、変なこと言って」 京太郎「いや、お気持ち嬉しかったです。ありがとうございました」ペコリ 照「……」 京太郎「い、痛みもひいてきたんで……じゃあ俺、これで戻ります」 照「……うん」 京太郎「それじゃ、お先に失礼しますね」 ――――――― 京太郎「ビ、ビックリした。いきなりあんまこと言われるとは思わないだろ普通……」 京太郎「でも可愛かったしちょっと勿体無かったかなぁ……ってダメだダメだ!俺には絹恵さんと郁乃さんがいるじゃないか」 京太郎「それにこれから後半戦なんだし、気持ち切り替えねーとな」 ゴツン 京太郎「ほわい!?」 ?「いたっ!!」 京太郎(や、やば!考え事しすぎて誰かにぶつかっちまった!) 淡「ううー……いたぁい!!」 京太郎「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」 淡「大丈夫なワケあるかー!」ウガー 京太郎「ヒエッ!」」ビクッ 淡「……ん?ああー!さっきのパツキンじゃん!」 京太郎「え?」 淡「丁度良かったー、菫先輩から"照だけじゃ心配だから様子見て来い"って言われてきたんだけど」 淡「その様子じゃダイジョブウそうだね」 京太郎「まぁ、だいぶ痛みはひきました」 淡「それで、テルは?」 京太郎「あー、えっと……まだ保健室に」 淡「ってことは置いてきたってこと?」 京太郎「……結果的にそうなる、のか」 淡「ふーん」 淡「あのさ、パツキン……」 淡「これで二人っきりだね」 京太郎「え?」 淡「とう!」ガバッ 京太郎「うわっ!?」ドサッ 淡「えへへ、マウントとったりー!」 京太郎「ちょ、ちょっと何するんですか!?」 淡「大人しくしてた方がいいよー。また傷口開いちゃうかもだし」 京太郎「すいません急いでるんで本当に勘弁してください」 淡「せっかく邪魔が入らなくなったんだし、色々はなそーよ」 淡「なんていうかさ、さっきの試合見てたら私パツキンのこと気に入ったし!」 京太郎(だからそんな時間ないっての!) 京太郎(とりあえず振り払ってでも逃げねーと……) 京太郎「やめろ!」ドン 淡「きゃっ!」 京太郎(今のうちに……!)ダッ 淡「あっ、逃げた!」 淡「待てこんにゃろー!!」 ―――――― 京太郎「はぁ……はぁ」ゼーゼー モブA「だ、大丈夫か須賀?顔色悪いぞ」 京太郎「大丈夫、大丈夫だ」 京太郎(血がたくさん出た上……全力疾走したら気分が)オエッ <後半戦スタートです! 京太郎(でもせっかく王者と闘う機会なんだ……!欠場するわけにはいかねー) ピーーーー!! <試合終了ー! 213-0で龍門渕高校の勝利です! 京太郎「いよっしゃああああ!!」 京太郎「王者に勝ったぞ俺ら!」 モブA「おう、これで堂々と長野に帰れるな」 モブB「全国王者っていっても大したことなかったなぁ」 モブA(ほぼ須賀一人で攻撃も防御もしてたけどね) 顧問「よーし、長野に帰って大会に向けてのミーティングだ。忘れモンないか?」 京太郎(やり残したことか……) 京太郎(なんかあったか?) 京太郎「んなもんないない、早く帰らなきゃ」 京太郎「さらば白糸台。中々に楽しかったぜ」 ―――――― ――――― 透華「お帰りなさいませ。遠征お疲れ様ですわ」 京太郎「ありがとうございます。なんとか学校の面子は保てましたよ」 純「聞いたぜ?なんでも無双したらしいな」 京太郎「あれ?まだ誰にも話してないのに耳が早いですね」 一「知らなかったの?あの試合テレビで全国放送されてたんだよ?」 京太郎「え゛っ……?」 智紀「全国にファンがいっぱいできてる」ポチポチ 純「はは、よかったな人気者」 京太郎(コケなくてよかった!ほんとによかった……!)ホッ 透華「今日はお疲れでしょう?そろそろ休んではいかが?」 京太郎「そうですね。流石に色々とやばい気がするので」 透華「明日はお休みとします。一日羽根を伸ばしなさい」 京太郎「えっ、それって勝手に決めていいんですか?」 透華「あなたのご活躍にお爺様もご満悦ですわ。喜んで休暇をくださるでしょう」 京太郎「はぁ……」 京太郎(まぁ、いっか。せっかく休みくれるって言ってんだし) 京太郎(明日は何しよっかなー) 京太郎(久々に清澄に顔でも出してみるか) 京太郎(優希や和、部長に染谷先輩元気してるかな) 京太郎(あいつもそう言えば清澄だったな) ――――――――― 久「あら、これ意外と美味しいわね」ポリポリ 春「それが自慢」 久「はい、あーん」 春「あむっ」 優希「転校生がきたと思ったらこれだじゃ」 まこ「アイツは女専門のたらしかえ」 京太郎「仲良くしてるようで、嬉しいです」 まこ「ま、部長は人に好かれやすいからのう」 まこ「……ん?」 優希「きょ、京太郎ーーーー!?」 久「へっ!?」 まこ「なっ!?」 春「!」 京太郎「お久しぶりです」 まこ「ったく、帰ってくるなら連絡の一つぐらいよこさんか!」ポコッ 京太郎「あたっ!す、すいません」 久「その割には嬉しそうねまこ」 久「須賀くん、噂は聞いてるわよ?随分と約束通り活躍してるそうじゃない」 京太郎「まぁ、ぼちぼち」 春「……」ギュッ 京太郎「お、おい!こんなとこでひっつくなって!」 まこ「なんじゃ二人とも知り合いだったんか?」 京太郎「まぁ、それは色々と……」 久「はっはーん」ニヤリ 京太郎「そ、そういえば和は?」 優希「……のどちゃんなら、最近学校にきてないじぇ」 京太郎「えっ?」 久「咲が……自分よりあなたを取ったことがよっぽどショックだったみたいでね」 京太郎「あっ……」 久「咲はどう?元気にしてる?」 京太郎「………」 優希「京太郎?」 京太郎「はい、そこそこ!」 京太郎「相変わらずのポンコツっぷりで、気苦労が絶えないですよ!」ハハ 久「仲良くはしてるみたいね、安心したわ」 京太郎「俺もみんなの元気そうな顔が見て安心しましたよ……和はいないけど」 京太郎(あっ!) まこ「……」 優希「……」 久「……」 春「?」 優希「なぁ、京太郎……」 京太郎「ん?」 優希「お前、清澄に戻ってくる気は無いのか?」 京太郎「……え」 優希「私は昔みたいに、京太郎と喧嘩して、咲ちゃんに麻雀でボコボコにされて、のどちゃんがいる頃に帰りたいじぇ……」 久「優希、それは……」 まこ「気持ちは分かるが京太郎にも京太郎の道があるんじゃ。それを邪魔しちゃいかん」 優希「今の麻雀部もはるるが来て賑やかになったけど、やっぱり私には京太郎がいないと何か物足りないじょ……」 京太郎「……俺は」 京太郎「すいません、今日は帰ります」 京太郎「またな春」ナデナデ 春「…」コクコク 優希「逃げるな京太郎ーー!どうなんだじぇ!?」 京太郎「すまん優希。俺は、あくまでハンドボール一筋だ」 優希「なっ!」 京太郎「ここで辞めたら俺を応援してくれてる人に申し訳ねぇよ」 優希「うう……」 京太郎「ごめんな優希」 優希「……も、もういいじぇ!京太郎なんか知らん!」 京太郎「じゃあ部長、染谷先輩……近いうちにまた顔出しますんで」 まこ「おう、時間に余裕があると時でええわ」 久「私たちも応援してるわよ。頑張ってね」 京太郎「はい、ありがとうございます」 ――――――― 京太郎(応援してくれてる人たちか……彼女の絹恵さんと郁乃さん) 京太郎(永水の石戸さん薄墨さん、滝見に………) 京太郎(龍門渕の龍門渕透華さんと天江さん、井上さんにも世話になったな) 京太郎(大阪じゃ洋榎さんや雅枝さんに出会って) 京太郎(白糸台じゃ結局名前聞けなかったけどあの綺麗な人と、カウントしていいか分からないちょっとアホっぽい子) 京太郎(そして清澄のみんな………と、幼馴染の咲) 京太郎(ちょっと怖かった人も交じってるけど、いろんな人に支えられてんだな俺は) 京太郎「か、海外留学っすか?」 教師「ああ。この前の白糸台との練習試合を見たらしくてな、是非どうかと」 教師「本当は白糸台の選手をスカウトするつもりだったらしいが」ハハ 京太郎「そんなこといきなり言われても……ちょっと」 教師「急がなくても返事は一週間後までに考えてくれればいい」 教師「それまでにご家族と話し合って決めることだ」 京太郎「は……はい」 京太郎(本場ドイツに行くことは全ハンドボールの夢だし、普通に考えて行かない手は無いないけど) 京太郎(でも流石に海外は国内とはワケが違うし……どうしたもんかな) 京太郎(それに色んな人に世話になりっぱなしで勝手に行くのはちょっと……) 京太郎(いや、やっぱり行こう) 京太郎(ここで自分から道を断ったら今まで応援してくれてた人たちに申し訳ねーよな) 京太郎「まぁ、流石に何も言わないで行くのはダメだし何人かに留学するって伝えないと……」 京太郎(って言ってもあんまり言いふらしても嫌味っぽくなるかもしれないから5人くらいにしとくか) 京太郎(5人も行っとけばその内誰かの耳にも入るだろ) ――――――― 久「私を呼び出すなんて、随分と偉くなったわねぇ須賀くん」 京太郎「はは……すいません。でも清澄じゃ言えないようなことなので」 京太郎(優希に聞かれたらただじゃすまねーだろうしなぁ……) 久「冗談よ冗談。相変わらず元気そうで安心したわ」 久「で、用件は何かしら?」 京太郎「はい、実は俺……ハンドボールで海外留学が決まったこと部長に伝えようと思って」 久「海外留学!?ワオ、やるじゃない須賀くん!」 久「……でも何でそれを私に言おうと思ったの?優希とか咲のが喜んでくれたんじゃない?」 京太郎「一番最初に背中を押し出してくれた部長に、一番最初言うのが礼儀だと思って」 久「ほうほう……じゃあまだ咲とかには言ってないんだ?」 京太郎「時間があれば伝えるつもりです」 久「分かった。優希とかには折をみて言っておくわ」 京太郎「よろしくお願いします」 京太郎「それと部長、今までお世話になりました」ペコリ 久「こらこら、もう部長じゃないでしょ」アハハ 京太郎「部長は部長ですよ。俺の中でそれはずっと変わりません」 久「そ、そう?」 久「……じゃあ、部長として最後に一言だけ」 久「あっちに行っても頑張りなさい!」バシッ 京太郎「いって!」 久「コケたりしたら清澄の雑用に逆戻りだからね?いい?」 京太郎「……はい!」 久「うん。よろしい」 久「日本に帰ってきたら、顔ぐらい出しなさいよ?」 ―――――――― 京太郎(なんだかんだ言って部長も俺の事、結構気にかけてくれてたのか……) 京太郎(この恩返しは活躍で返すとしよう) 京太郎(……んで、次は誰に言いに行くかな) 京太郎(次は龍門渕さんかな……こっち来てから色々と世話になったし) 京太郎(あと、俺の事好きって井上さんから聞いてたんだけど……どうなんだろ) 透華「……海外留学と?ドイツに?」 京太郎「はい」 透華「確かに国内であなたの実力を埋もれさせるのは酷というものですわね」 透華(ドイツは少し遠い気もしますが、まぁいいですわ。別荘も幾つかありますし) 京太郎「本当に、龍門渕さんにはお世話になりました!」ペコリ 透華「まぁそんな!顔をあげてくださいまし」 透華「あなたは我が龍門渕の誇りですわ。もっと胸を張りなさい」 京太郎「龍門渕さん……」 京太郎「本当にありがとうございました!俺、あっちでも頑張ってきます!」 透華「え、ええ!期待していますわ……!」 京太郎「じゃあ、俺はこれで」 透華「………」 透華(結局告白できないままですわね……なんて情けない) 透華(って、違いますわ!今言わなきゃいつ言うんですの私!?) 透華「好きでしたのよ!」 京太郎「うおっ!?」 透華「私、あなたを出逢った時からずっとお慕い申していましたわ!」 京太郎(うおお!やっぱりマジだったんだな。龍門渕さんが俺の事好きって……) 京太郎(けど……い、いざ言われると)アタフタ 透華「ですから京太郎さんが遠くに行ってしまうなんて、とても耐えられませんわ!どうか行かないでくださいませ!」 京太郎「えっと………」 雅枝「お茶でええか?」 京太郎「はい、お構いなく」 雅枝「そういや絹と洋榎はおらへんのか?」 京太郎「俺一人できました」 雅枝「ま、ええわ。それで大阪まできて言いたいことって、どないしたん?」 京太郎「……実は俺、ハンドボールで海外留学が決まったんです」 雅枝「ほぉー、そらすごいなぁ!絹には言うたんか?」 京太郎「いえ……中々言い出せなくて」 雅枝「やろなぁ。彼氏が海外留学て相当辛いもんな」 雅枝「で、なんで絹恵でも洋榎でもあらへんで私に言うたん?」 京太郎「雅枝さん大人ですし、絹恵さんから麻雀で海外に行ってたって聞きました」 京太郎「だから先輩として海外に行く上で何かいいアドバイスがもらえるかと思って」 雅枝「アドバイス言うてもなぁ………んー」 雅枝「あ、せや!」 京太郎「!」 雅枝「私がついってって教えたるわ」 京太郎「はい!?」 雅枝「海外初めてなんやろ?なら、暮らし方とか色々教えたる」 京太郎「いやいやいや!流石にそれは!」 雅枝「遠慮せんでもええ。京太郎が一人でやってけるようになったら私も戻るわ」 京太郎「そうじゃなくて、夫さんとか仕事とかどうするんですか!?」 雅枝「そこら辺は適当に片付ける」 雅枝「京太郎はハンドボールだけに集中しとけばええんや」 京太郎(……俺、愛宕さんの夫に刺されないな) ――――――――― 京太郎(ま、まさかこんな展開になるとは……) 京太郎(いやでも飯とかの問題とか生活環境の心配は無くなったって考えたら……結果オーライなのか?) 京太郎(そう考えたらちょっとは良い気がしてきたかも。とりあえず残りの挨拶回っとくか) 京太郎「絹恵さん、ちょっといいですか?」 絹恵「おおー京太郎!どないしたん?」 京太郎「ここじゃちょっと。場所を変えましょう」 京太郎「俺、ハンドボールで海外留学が決まりました」 絹恵「……えっ?」 京太郎「言うのが遅くなってすいません」 絹恵「それはええんやけど……京太郎」 絹恵「海外、行くん?」 京太郎「……はい」 絹恵「そ、そっか……そうなんや」 京太郎「……」 絹恵「……」 絹恵「なぁ、京太郎?」 京太郎「はい?」 絹恵「か、彼女として……応援しとるで」グスッ 絹恵「ほんま寂しくなるけど、京太郎が帰ってくるまで我慢するで……っ!」ヒック 京太郎「そんな泣かないで下さいよ……俺まで泣きたくなるじゃないですか」 絹恵「だ、だって……」 京太郎「俺、あっちで活躍して絹恵さんに相応しい男になって帰ってきます」 京太郎「だからそれまで待っててください」 絹恵「……」 絹恵「うん……待っとるから、ぜったい帰ってきてや………約束やで!」 ―――――――――― 京太郎(あっ!"お母さんはついてきますよ"って言うの忘れてた!) 京太郎(ま、まぁ……あの雰囲気でそんなこと言えなかったしな仕方ないか) 京太郎(……さて、最後は誰に言おうかな) ――――――― 京太郎「よっ、咲!」 咲「……」 京太郎(あ、あれ?聞こえてなかったのか?じゃもう一回……) 京太郎「咲ー!」 咲「……」 京太郎「……」 京太郎(あれ、もしかして無視されてるのか?) 咲「海外留学決まったらしいね、おめでとう」 京太郎「!?」ビクッ 京太郎「……な、なんだ知ってたのか」 咲「それで、私に何か用事かな?」 京太郎「あ、ああ!だからその海外留学することをお前に言っとこうって思って」 咲「どうして?」 京太郎「どうしてって、お前俺の為に全国転々としてたんだし言っとかなきゃって思って」 咲「……それだけ?」 京太郎「へっ?」 咲「ごめん京ちゃん、私もう行くね」 京太郎「お、おい!待てって咲!」 京太郎「まだお前に言いたいことが残ってんだよ!」 咲「……」ピタッ 京太郎「あのさ、咲……」 京太郎「なんでそんな機嫌悪いんだ?生理?」 咲「……」 京太郎「嘘だって、そんな怖い顔で睨むなよ!」 咲「京ちゃん」 京太郎「あ、はい」 咲「頑張ってね。京ちゃんの一ファン、あと"友達"として応援してるから」 ――――――――――― 京太郎(咲の奴、ゴミクズを見るような目で俺を見てたな) 京太郎(結局なんで怒ってたかずっと分からねーままだったし……) 京太郎(ま、いいや。とりあえず荷造り初めなきゃな) ―――――――― ――――――― 雅枝「京太郎ー!はよ起きんかい!」 京太郎「あ、あと五分……あと五分……」ムニャ 雅枝「もう朝ごはんも出来とるで。ぱぱっと用意して食わんかい」 京太郎「今日は朝飯抜きでいいです……」 雅枝「食うモン食わんと力もでらへんよ」 京太郎「朝飯食わなくても俺、強いですから大丈夫です……」 雅枝「いいからはよ起き!」ガバッ 京太郎「いやああーーー!変態ー!!」 雅枝「アホ言うなや。ほら、モタモタしとったらKGWが迎えにくんで!」 京太郎「分かりましたよっと………」 京太郎「それじゃ、いただきまーす」 雅枝「ぎょーさんあるから一杯食べ。ほんで元気付けて、今日も頑張ってき」 京太郎「はーい」 ―――――――――― 恒子「今年のインハイは龍門渕の圧勝だったねー!もうちょっと盛り上がると思ってたけどほぼ一強状態だし!」 恒子「去年凄かった白糸……なんたらと巫女さんのたくさんいる学校は何で今年出てないの?」 健夜「白糸台と永水だよ!それぐらい覚えようよ!」 健夜「……なんでも白糸台は暴力事件が表沙汰になっちゃって、出場停止で……」 健夜「永水は主力が欠けてしまったとかで、辞退したって聞いたよ」 恒子「うっわ、なにそれ!?でんじゃらす過ぎっしょ!」 K「ったく、お前15歳のクセにあんな年上美人と同棲なんて羨ましすぎだろ……」 京太郎「そうか?」 K「そうだよ。俺なんて相手がいないからエロチャぐらいしかすることないのに」 京太郎「確かに雅枝さんには感謝してるよ。いつもおいしいご飯作ってくれるし色々世話してくれるし」 K「それは下の世話もか?」 京太郎「それは秘密だ」 K「死んでく………ん?」 京太郎「どうした?」 K「なんかさ、あそこにいる女の子ずっとお前の方見てね?お前と同じ日本人っぽいけど」 京太郎「え?」 京太郎「……どこだよ」 K「……あれ?おかしいな」 K「確かにショートヘアの女の子がいたんだけど」 京太郎「エロチャのし過ぎで幻覚見えてんだよお前」ハハハ 京太郎「速く練習行こうぜ、遅刻したらまたどやされるぞ」 K「お、おう……」 カン
https://w.atwiki.jp/sakiss/pages/8.html
京太郎「大人の女って良いよな」アラフォー「!」ガタッ! 京太郎「いざ、白糸台高校へ」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3952.html
前話 次話 みさき「準決勝もついに大将戦です。この大将戦でどう動くでしょうか」 理沙「…………」 みさき「ついに無視されました」 理沙「違う!考えてた!」 咲(私の番か……ここで勝ったら決勝……お姉ちゃん……) 京太郎「咲、おい咲どした?」 咲「……京ちゃん」 京太郎「大丈夫だって。リードはあるんだ。気楽にやれよ。ほら、いつもみたく俺飛ばすくらいで」 咲「アレは京ちゃんだから飛ぶんだよ」 京太郎「なんだとこのちんちくりんは」 咲「せめて飛ばないようにしてほしいなー」 京太郎「自分の実力分かって言いやがれ。お前和優希と打つんだぞ?俺なんて飛ぶかお前に+-0にされるかだっての」 咲「……ふふっ」 京太郎「なんだよ」 咲「なんでもないよ」 咲(やっぱ京ちゃんといると安心するな) 咲「じゃ、行ってくるね」 京太郎「おう、行って来い」 ネリー「じゃー行くねー」 智葉「おう。無理するなよ」 ネリー「分かってるよー。姫松が追い上げてきてるんでしょ?」 智葉「いや……清澄だ」 ネリー「1位だから無理してこないでしょ?」 智葉「あれは多分宮永照辺りと同じだ」 ネリー「?」 恭子「い、行ってきます」カタカタ 洋榎「落ち着きや。すでにカタカタゆうてるで」 郁乃「善野さんが見てるで~?」 恭子「そ、そうやった……カタカタしてる場合じゃないわ。負けられへん!」 有珠山大将「やるだけやってくるね」 成香「が、頑張ってください!」 ネリー「ツモ!」 ネリー(んー……サトハが言うほどの感じはしないなー) 有珠山(やっぱ強いわー) 恭子(また化け物ばっかやん……)カタカタ 咲「…………」 咲「ツモ」 みさき「前半戦終了です」 理沙「……静か!」 みさき「ええ、特に大きく変わったことはありませんね」 理沙「……まだ!」 みさき「はい?」 ネリー「サトハー、清澄特に変わったとこないよー」 ダヴァン「うーん……分かりまセン」 智葉「思い違いじゃないと思うんだがな」 恭子「や、やぱっり化け物ばっかですやん!」カタカタ 郁乃「大丈夫やって~……多分」 恭子「ホンマ負けそうでメゲルわ……」 漫「あ、諦めんでください!」 由子「頑張るのよー」 恭子「くっ……やるしかないんか」 有珠山大将「アレね。ただでは帰らんって気分よ」 有珠山中堅「なんか違うんじゃない?」 咲「……ここ、どこ?」 大将後半戦 咲「カン」 有珠山大将(あ、やば) 咲「もいっこカン」 ネリー(ちょ、ちょっと何これー!?) 咲「カン」 恭子(も、もう勘弁してや……)カタカタ 咲「ツモ」 咲「ツモっ」 みさき「試合終了!!準決勝を勝ちぬけたのは清澄高校と臨海女子高校です!」 みさき「臨海を抑えて初出場の清澄が1位ですが、どうですか?」 理沙「……意外!」 みさき「はい、ありがとうございました」 咲「お疲れ様です」 ネリー「お、お疲れ様です……」 ネリー(さ、最後やばかったー……え?またこの人とやるの?) 恭子「あ、ありがとうございました……」カタカタ 恭子(……メゲるわ) 有珠山大将「お疲れ様です」 有珠山大将(後半何もやってないわー……) 試合結果 1位清澄2377+552=2929 2位臨海1645+351=1996 3位姫松1482+454=1936 4位有珠山681+150=831 夜 京太郎「明日のミーティングと最後の練習っていうし、なんか買ってこないとな」 京太郎「それにしても、全国の決勝か……まさかここまでくるなんてな」 京太郎「……俺、何にもしてねーのにな」 京太郎「……やっぱ、俺も麻雀上手くなりてーな」 京太郎「……ん?あそこにいるのは」 京太郎「あのジャージとポニテは……」 穏乃「明日か……」 京太郎「おい、何やってるんだ?」 穏乃「うわぁっ!?す、須賀くん?」 京太郎「高鴨、だったよな。何やってるんだ?」 穏乃「んー、夜風に当たろうと思って」 京太郎「こんな時間に?」 穏乃「……ちょっと、落ち着かなくてさ」 京太郎「……隣、いいか?」 穏乃「うん……明日さ、決勝じゃん?」 京太郎「あぁ」 穏乃「私達さ、優勝じゃなくて和とまた遊びたい!って目的できたんだ」 京太郎「和と遊ぶ、か。それで決勝まで来るんだから大したもんじゃねぇか」 穏乃「ありがとう。でそれが叶って、今なんか落ち着かないんだ」 穏乃「アレだね。遠足の前の夜って感じ」 京太郎「お前……全国の決勝と遠足を同じにするなよ」 穏乃「あはは」 京太郎「……高鴨は不安とか無いのか?」 穏乃「え?」 京太郎「明日、途中で飛んだり、自分がすっげえ失点したり、そういう不安」 穏乃「無いね!」 京太郎「……即答?」 穏乃「うん!だって、そういうのも込みで楽しいし!」 穏乃「だから決勝も不安とかじゃなくて、どんな麻雀ができるかの楽しみしかない!」 京太郎「……高鴨は強いな」 穏乃「そんなことないよ?宥さんとかが点は稼いでるし…」 京太郎「そういうのじゃねぇって……楽しむか、そうだよな」 京太郎(大会が終わったら、改めて麻雀しよ。楽しむために) 穏乃「ねぇ、同い年だしさ、私のことは穏乃でいいよ」 京太郎「じゃ、俺も京太郎でいいぜ」 穏乃「うん!明日、楽しみだね京太郎!」 京太郎「そうだな。俺は打てないけど、楽しみだ!」 コンビニ店員「ありがとうございましたー」 京太郎「さて、お菓子もタコスの材料も買ったし、帰るか」 京太郎「ん?あの人は……」 京太郎「……あいつ、何やってんだ?」 淡「……むー」 京太郎「よう、何やってんだ?」 淡「あ、キョータロー」 京太郎「こんな時間にこんなとこで……明日あるのにいいのか?」 淡「明日……ねーキョータロー」 京太郎「なんだ?」 淡「咲って強い?」 京太郎「なんだいきなり……まぁ、強いよ。麻雀は」 淡「そっかー……」 京太郎「なんだ?何が言いたい?」 淡「明日さー……大丈夫かなって」 京太郎「おいおい、あんなに強気だったじゃねーか」 淡「でもさー、高鴨穏乃とか、テルーの妹の咲とか、そんなんいるじゃん?」 淡「本当に今までみたいに勝てるのかなーって思って……どうしよ」 京太郎「…………」 京太郎「…………」なでなで 淡「え?ちょ、何すんの?」 京太郎「いや、なんとなく?」 淡「なんとなくで女の子の髪に触るのー?」 京太郎「昔、咲や照さん相手によくこうしたんだよ」 淡「テルーに?」 京太郎「迷子になった後だったり、喧嘩して泣いた後だったり、何か不安がった時だったり」 京太郎「あ、咲は今もか」 淡「……子供扱い?」 京太郎「んー、俺が麻雀に関してお前らに言えるようなことはないんだよなー」 京太郎「だから、こうして不安が和らぐようにするしかできない」 淡「……駄目じゃん」 京太郎「お前が信じるお前を信じろ」 淡「……なんのアニメ」 京太郎「熱いアニメなんだけど、外したか?」 淡「こういう時にアニメのセリフー?もうちょっと気のきいたこと言わないとモテないよ?」 京太郎「くっ……返す言葉もねぇ」 淡「でも……少しは元気出た。ありがとね」 京太郎「ん、まあ元気になったんならいいさ」 淡「でもさー、敵を元気にしてどうすんのー?清澄としては私がへこんでた方がいいんじゃない?」 京太郎「はぁ?何言ってんだ。そんなの関係ないだろ?これくらいやって当然だ」 淡「……キョータローってさ、結構凄いこと言うよね」 京太郎「うん?」 淡「あははっ、ありがとね!そして明日清澄負かしたらごめんね!」 京太郎「簡単には負けねーよ」 淡「じゃないと困るしー。じゃ、まったねー!」 京太郎「なんだ?……ま、元気になったしいいか。帰るか」 朝、大会会場 久「……いよいよね」 まこ「なんじゃ、緊張しとるんか?」 久「そりゃね。ずっと待って、そして部員が揃って、大会に出て、ここまで来た」 久「今日、決まるのよね……全国優勝するのが、どこか」 和(私は転校してしまうかが、ですね) 咲(お姉ちゃん……) 久「……みんな、今さらどうこう言うことは無いわ」 久「ただ、全力を尽くしましょう」 久「そして、全国優勝するわよ!」 咲、和、優希、まこ「おぉーっ!!」 久「……今さらだけど、わざとじゃないわよね?」 和「さすがにそんな人ではありませんよ……」 まこ「なんというか……今日ぐらいビシッとしたかったわ」 優希「もう、仕方ないことだじぇ」 久「そうね……と言う訳で須賀くん」 京太郎「はい」 久「咲、探してきてね?」 咲「ここ……どこ?」 京太郎「すぐに見つけてきます」 まこ「どうやったらあんな風に一致団結した後に迷子になれるんじゃろな」 優希「咲ちゃんの特殊能力か?」 和「そんなオカルト……ありそうで怖いです」 咲「どこだろ……あ!」 照「……咲?」 咲「……お姉ちゃん」 照「……ここまで来たんだね」 咲「うん……」 照「団体戦で直接当たることは無いけど……負けないから」 咲「……私だって負けないよ!」 照「うん……じゃ、会場で」 咲「うん!」 京太郎「って待てい!!」 照「あ、京ちゃん」 咲「もう!ここはかっこよく去るとこだよ!」 京太郎「お前な……会場と反対の方向に去ってどうするんだ」 咲「う……」 照「……私はちゃんと会場の方向だから」 京太郎「照さんは応援席でしたけど」 照「…………」 京太郎「2人とも連れて行くんで、手離さないでくださいね」ギュッ 咲「……またそういうことする」 照「私達は迷子じゃない」 京太郎「どの口が言いますか……」 咲「あ、私こっちから来た…」 京太郎「そっちは遠回りになるからな」 照「お菓子のにおいが……」 京太郎「控え室にあるでしょう。菫さんが買ったって言ってましたよ」 京太郎「はぁ……全国決勝前なのに、締まらないなこの姉妹」 咲・照「ねぇ京ちゃん」 京太郎「ええい静かに引っ張られてろ!」 白糸台控室 菫「本当にありがとう……毎回毎回探しに行くから助かった」 京太郎「いやいや、慣れてますから」 照「そんな毎回じゃ…」 菫「じゃあ迷子にならなかった試合言ってみろ」 照「…………」 放送「各校先鋒の方は…」 照「じゃ、行ってくるから」 菫「おいこら」 誠子「逃げた?」小声 尭深「逃げたね」小声 淡「テルー、頑張ってねー!」 照「うん」 京太郎「途中まで同じなんで、行きましょうか?」 菫「頼む。色々終わったら改めてお礼をする」 照「そこまでしなくても…」 淡「ここって決勝だけしか使われない会場だったよね。テルー分かるの?」 照「……京ちゃん、行こ」 京太郎「照さん、だからそっちじゃないですって」 菫「……チームメイトだが、アレが全国1位だと思うと複雑だ」 晴絵「さて、玄。行ってきな」 穏乃「玄さん頑張ってください!」 玄「う、うん!また宮永さんが相手だけど、頑張るよ!」 宥「が、頑張ってね」 灼「応援してる」 憧「まかせたわよ!」 智葉「さて、行くか」 ネリー「なんかいつもより気合入ってるー?」 明華「決勝だからでしょう?」 ダヴァン「いや、また宮永照が相手だからデスヨネ?」 智葉「あぁ……真向勝負だ。今度は負けん」 ハオ「頑張れ」 優希「タコスよし、マントよし。準備万端だじぇ!」 和「普通麻雀打つ前に気にしないものですが……」 まこ「今さらじゃな」 優希「京太郎はまだか」 咲「うん。お姉ちゃんを送っていくって言ってたし」 久「試合前に相手校の選手を送るって……いや、この場合送られる方が問題か」 咲「あはは……優希ちゃん、頑張ってね」 優希「まかせるじぇ!相手が高校最強だろうとなんだろうと、私は勝つ!」 和「油断は禁物ですよ」 まこ「ま。無理せずいつも通りやりゃええわ」 久「そうね。優希、いつも通りのあなたで、頑張りなさい」 優希「おう!片岡優希、行ってくるじぇ!!」 前話 次話 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1857.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362238426/ 久「……」 京太郎「ほ、本当なんですか部長……」 久「……残念だけど、ね」 京太郎「そんな……」 京太郎「すいません、俺が居ながら……」 久「須賀君のせいじゃあないわ」 久「それに部長の私の責任でもある」 京太郎「部長」 久「と、いうわけで悪いんだけど……」 京太郎「はい!」 京太郎「今すぐ迷子になった咲を探しに行ってきます!」 久「よろしくね、龍門渕の執事さんにも協力してもらってるから、2人で連絡しあってちょうだい」 京太郎「行ってきまーす」 優希「気を付けてなー」 京太郎「おう」ガチャ バタン 京太郎「(まさか東京でも迷子になるとは……)」 京太郎「(変な人に着いていったりしてるんじゃないだろうな)」 京太郎「……」 京太郎「やべぇな、早く見つけてやらないと」トトト 京太郎「(あんまり遠くには行ってないと思いたいんだけど…)」 京太郎「って、あれ?」 照「……」スタスタ 京太郎「(見憶えのある髪型発見!)」 京太郎「おーい、咲ー!」 照「……」 京太郎「咲ー!」 照「?」クルッ 京太郎「探したんだぞ、いやー早めに見つかって良かっ……」 京太郎「……」 照「……」 京太郎「……すいません、人違いでした」カァァ 照「(照れてる)」 照「君、ちょっといいかな」 京太郎「えっ」 京太郎「すいません、本当反省しますんで……」ペコペコ 照「いや、そうじゃなく…」 プルルルルル 京太郎「……」 京太郎「すいません、俺です」 照「出ていいよ」 京太郎「失礼します」ガチャ 京太郎「もしもし、須賀です」 京太郎「どうしたんですか、ハギヨシさん」 京太郎「え、見つかった? 本当ですか?」 照「……」 京太郎「ありがとうございます! ありがとうございます!」ペコペコ 照「(電話越しにすごい頭下げてる……)」 京太郎「いや、本当に迷惑をかけてすいません」ペコペコ 京太郎「ああ、はい……分かりました」 京太郎「それじゃ、本当にありがとうございました」ペコ 京太郎「……」ガチャ 京太郎「……」ツーツー 京太郎「いやー、すいません。人前で話し込んじゃって…」ワハハ 照「君」 京太郎「はい?」 照「なんかサラリーマンみたいだね」 京太郎「?」 京太郎「それで、さっき何か言いかけてましたけど……」 照「うん」 京太郎「何か用が…」 照「あれ」 京太郎「?」 照「あそこに見える……」 京太郎「ああ、国際フォーラムですか」 照「うん」 京太郎「あれがどうかしたんですか?」 照「……」チラ 京太郎「?」 照「君、行きたいんじゃないかなって」 京太郎「……」 京太郎「は?」 京太郎「いや、確かに行きたいというか……帰りますけど」 照「一緒してあげよう」 京太郎「いや、いいですって」 照「……」 京太郎「さっきは本当にすいませんでした」 京太郎「じゃ、俺はこれで」スタスタ 照「……」 京太郎「……」スタスタ 照「……」 京太郎「……」チラッ 照「……」ポツーン 京太郎「あのー、何してるんですか」 照「何も……」 京太郎「国際フォーラム行くんじゃ…」 照「いや、着いてくるなって言われたから」 照「視界から消えるまで待っていようかな、と」 京太郎「……」 京太郎「(めんどくせぇ!)」 京太郎「すいません、いや…」 京太郎「そんなつもりじゃなかったんですけど……」 照「……」 照「一緒してあげようか?」 京太郎「……」 京太郎「あの、もしかしてなんですけど」 照「うん」 京太郎「迷子ですか」 照「……」 照「違う」 京太郎「(間が空いた……)」 京太郎「ここから建物見えてるんですけど」 照「見えてるね」 京太郎「……」 照「……」 京太郎「……」 照「行こうと思えばなんとか行ける」 京太郎「そんなに苦労することですかね?」 照「ここらへん道が複雑だから…」 京太郎「ちょっと関係無い話なんですけど」 照「何?」 京太郎「あの、その制服」 京太郎「もしかして白糸台高校の制服じゃ」 照「そうだよ」 京太郎「地元じゃないんですか」 照「……」 照「私の出身は長野」バーン 京太郎「長野から通ってるんですか?」 照「違う」 京太郎「じゃあどこから」 照「……」 照「なんでいじめるの……」 京太郎「すいません、なんか加虐心を煽られちゃって……」 京太郎「本当すぐっスよ、歩いて10分かかかるかどうか」 照「分かってる」 照「ただ、私が行こうとすると30分はかかる」 京太郎「……」 照「……」 京太郎「知り合いにもいるんですよ」 京太郎「よく迷子になるやつが」 照「へえ」 京太郎「なんで何度も同じ場所で迷子になるんですかね?」 照「道が悪い!」シャキーン 京太郎「……」 照「……」 京太郎「地図要りますか、大会パンフレットの」 照「いや、いらない」 京太郎「部員の皆も探してるんじゃないですか?」 照「多分、100人は探し回ってると思う」 京太郎「なんだそれ」 京太郎「……」 京太郎「何年生ですか?」 照「3年」 京太郎「もしかして、名字は宮永…」 照「照」 京太郎「やっぱり!」 照「?」 京太郎「もしかして、咲のお姉さんじゃないですか!?」 照「……」 照「案内ありがと」ダッ 京太郎「ちょ、いきなりどこへ」 照「着いてこないでね」タタタ 京太郎「いいですけどー!」 京太郎「そっち逆方向ですよー!」 照「……」タタタ 照「(走り出した手前、止まれない)」 京太郎「(とか思ってるんだろうなぁ)」 京太郎「ったく、仕方ねぇな!」ダッ … …… 淡「あ、テルー!やっと見つ…」 京太郎「……」タタタ 照「……」タタタ 淡「て、テルーが…」 淡「知らない男に追われてる!」ダッ 淡「テルー!」 照「はぁ…はぁ……淡?」ピタ 京太郎「急に止まった!」ピタ 京太郎「帰りは別で構わないんで、せめて正しい方向に…」 淡「テルー!」ドドド 京太郎「ん?」 淡「とうっ!」ヒュッ 京太郎「いきなりキック!?」 京太郎「危なっ!」ヒラ スカ 淡「避けるな変態!」 京太郎「変態じゃねえ!」 京太郎「部員ですか!? 止めて下さいよ!」 照「……」 照「……」ニコ 京太郎「(さっきの事根に持ってる!)」 京太郎「(こういうところそっくりだな、ホント)」 淡「さぁ!」 京太郎「ん?」 淡「どこからでもかかってこーい!!」 京太郎「……」 京太郎「お前、アホだろ…」 淡「なんですとぅ!?」プスコ 京太郎「いや、なんで戦おうとしてんだよ?」 淡「悪い人から私がテルーを守る!」 照「……はぁ、はぁ」 京太郎「……」 照「はぁ……淡…はぁ、はぁ、この人は悪い人、じゃない…はぁ」 京太郎「(なんだ、説明してくれるのか)」 京太郎「(ていうか、息切れすごいな)」 淡「え?」 淡「えーと、じゃあなんなの?」 京太郎「息、整えてからで大丈夫ですよ」 照「はぁ、はぁ……うん」 照「ふぅ」 京太郎「……」 淡「……」 照「この人は、意地悪な人」 京太郎「状況が複雑になるんで、そういう答えはやめて下さい!」 … …… 淡「ふーん、じゃあキョータローはテルーを案内してくれてたんだ」 京太郎「さっきから何度も言ってんだろ……」 照「違う、同行させてあげてた」 淡「え、えぇ…」 淡「んーと、つまり?」 京太郎「説明がややこしくなるから、一々茶々入れないで下さい」 照「……」ズーン 淡「む!」カチン 淡「キョータロー、ちょっと先輩に対して礼儀がなってないよ!」 京太郎「お前だってタメ口じゃねえか」 淡「私はいいの!」 京太郎「(面倒くさ……)」 京太郎「大体なんだよキョータローって」 京太郎「金太郎みたいなイントネーションで呼びやがって」 照「ぷっ」 京太郎「……」 淡「……」 照「……」 淡「それは置いといて…」 淡「本当はしつこくナンパでもしてたんじゃないの?」 京太郎「だぁーっ!」 京太郎「だから、違うっての!!」 淡「ほんとにー?」ジトー 京太郎「まず、俺はC以下には興味無ぇんだよ!」 淡「な!」ストーン 照「……」ストーン 淡「テルー、失礼すぎるよ! このセクハラ野郎!」 照「……」ストーン 京太郎「お前こそ初対面の俺に蹴りいれてきやがって!」 京太郎「脳みそが胸以上に何も入ってないんじゃねえか?」 淡「……」カチーン 淡「あったまきた!!」ガサガサ 京太郎「は?」 淡「……」ババーン 京太郎「グルグルキャンディ?」 淡「レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ」 京太郎「な……」 京太郎「(こいつ、急に何を……)」 淡「ふぅー」 京太郎「……」 京太郎「ま、まさか…」 淡「……」ニヤリ 淡「アメちゃん喰らえ!」 京太郎「や…」 京太郎「やめろォオオオオッ!!」 ベチャッ … …… 久「で、悔しいから仕返しをしてやりたい…と」 京太郎「はい」 京太郎「常識的に考えて酷いと思いませんか!?」 京太郎「顔面ですよ! 顔面!」 京太郎「その後、俺がショックでどれだけの間その場を動けなかったか……」 久「まぁ、間接キスされたと思えば……」 京太郎「部長は飲みかけのコーラぶっかけられて間接キスだ、ラッキーって喜べるんですか!?」 久「それは無理ね、私が悪かったわ」 京太郎「分かって貰えましたか」 久「(ご丁寧にラップに包んでそのアメまで持ってきて……)」 久「そのアメを持ってくることに抵抗は無かったの?」 京太郎「いや、もちろんありましたよ」 京太郎「あのチビせんべいが舐めた涎付きのこの上なく汚いアメですからね、嫌に決まってますよ」 久「(チビせんべいって……)」 京太郎「ほら、見て下さい」 久「ん?」 京太郎「未だに鳥肌が!」 久「いい! 見せなくていいから!」 久「その……」 久「包んであるラップはどうしたの?」 京太郎「ああ、これですか」 京太郎「いや、東京って凄いですよね!」 京太郎「まさかラップを街中で配ってるなんて」 久「普通、男子高生はそんなの貰ってこないと思うけどね」 京太郎「そうですかね?」 久「うん」 久「(私は多分貰ってくるけど)」 久「あと、一応聞いておくけど…」 京太郎「はい?」 久「なんで、真っ先に私のところに?」 京太郎「あぁ」 久「……」 京太郎「部長って、こういう悪巧み的な事好きそうじゃないですか?」 久「へー、そんな風に私の事見てたんだ」 久「じゃ、バイバーイ」 京太郎「調子乗ってすいませんでした」 久「よろしい」 まこ「戻ったぞ」ガチャ 京太郎「染谷先輩、お邪魔してます」 まこ「京太郎か。どうした?」 京太郎「それが…」 … …… まこ「なるほど、それは大変な目にあったのぉ」 京太郎「染谷先輩ー!」 まこ「おお、よしよし」ワシワシ 久「あれ、私の時となんか反応違わない?」 まこ「で、話を聞いてさっきから気になっとったんじゃが」 まこ「何故そのアメを持ってきたんじゃ?」 久「ああ、それ私も気になってた」 京太郎「これは証拠品ですよ!」 京太郎「このアメをネタにあいつをゆすろうと思いまして!」 まこ「……」 久「ま、まぁ色々ツッコミどころはあるんだけど…」 久「それは置いといて、具体的にどうやってゆするの?」 京太郎「それを聞きに来たんじゃないですか!」 久「あー……納得」 京太郎「染谷先輩、何かありませんかね?」 まこ「すまんが、急にパッとは思いつかんの」 京太郎「そうですか……」 まこ「悪いな」 久「(ちょっと、何猫かぶってんのよ!)」 まこ「(こういうのはお前さんの得意分野じゃろ)」 久「(まこまでそんなこと言うの……)」 京太郎「部長は?」 久「んー……そうね」 久「あ! そうだ」 京太郎「何か思いつきましたか!」 久「試合前に直接嫌がらせされたって運営に言えばどうかしら」 久「そうすれば出場停止とまでは行かなくても何かしらの動きが…」 京太郎「……」 まこ「……」 久「冗談だから、2人ともそんなに引かないでちょうだい……」 まこ「いや、お前さんのことだから本気じゃと」 京太郎「……」コク 久「2人ともさっきから私に対して失礼すぎるわよ」 … …… 久『もう面倒見きれないから一年生だけで適当に話合ってちょうだい』 京太郎『そんな!』 久『どうせ、私が意見出したら白い目で見るんでしょ……』 久『どうせ私は腹黒いわよー…』 京太郎『じゃ、染谷先輩も失礼しました』ガチャ まこ『おう』 バタン 久『あれ、フォロー無し?』 京太郎「と、いうわけで」 京太郎「第一回チキチキ白糸台対策会議ー!」パチパチ 咲「白糸台……」 優希「急に部屋に呼び出すから何かと思えば……」 咲「私、帰るね」 京太郎「いや待てよ、咲」 咲「……」スタスタ 京太郎「ちょ」 咲「……」ガチャ 京太郎「ま、待って下さい! お願いします!」 優希「(必死だじぇ…)」 咲「じゃあ、少しだけね……」 京太郎「おう、悪いな」 優希「(咲ちゃん、テンション低いなー)」チラ 優希「(まぁ、お姉さんのいる高校。しかもあまりいい思い出がなさそうだし…)」 優希「(仕方ないのかもしれないじぇ)」 京太郎「それじゃ、まずメンバー毎に紹介を」 咲「……」 優希「……」 優希「(空気が重いじぇ)」 京太郎「じゃ、まずは先鋒から」 咲「(いきなり…)」 京太郎「先鋒、宮永照」ペラ 咲「……」ドキドキ 京太郎「方向音痴」 優希「え?」 咲「……」 咲「は?」 京太郎「じゃあ次」 京太郎「次鋒、弘世菫」ペラ 京太郎「情報無し」 咲「……」 優希「……」 京太郎「中堅、渋谷尭深」ペラ 京太郎「情報無し」 咲「……」 優希「……」 京太郎「副将、亦野誠子」ペラ 京太郎「情報無し」 咲「……」 優希「……」 京太郎「次」 京太郎「大将、大星淡」 京太郎「……」プルプル 京太郎「こいつだ!!」ビリビリ 優希「急に写真を破いてどうしたんだじぇ」 京太郎「聞いてくれるか」 咲「私、トイレ行ってくるね」 咲「(緊張が解けて尿意が…)」スタスタ 京太郎「待て、咲」 京太郎「何故部屋から出て行こうとしてるんだ」 京太郎「トイレなら俺の部屋にもあるだろ」 京太郎「お前、もしかして理由つけて逃げる気じゃ」 優希「そこは察するべきだじぇ」 優希「(音)」ボソ 京太郎「!」 京太郎「……」 京太郎「や、やっぱり行っていいぞ」 咲「聞こえてるからね……」 京太郎「いや、でも待て」 咲「私、早く行きたいんだけど…」 京太郎「監視として優希もついていけ」 優希「別にいいけどー」 京太郎「……」 京太郎「いや! やはりダメだ!」 京太郎「そのまま2人で居なくなる気なんだろ!?」 咲「それでもいいかなって気分になってきたよ……」 … …… 京太郎「……」 優希「……」 京太郎「……」 優希「咲ちゃん遅いなー」 京太郎「やめろ、こっちは考えないようにしてんだよ!」 優希「で、結局大星淡がどうかしたのかー?」 京太郎「ああ…」 … …… 優希「……」 優希「それって、思いっきり私怨だじぇ」 優希「私たちは結果的に騙された形になるじぇ」 京太郎「……」 優希「タコスを要求する!」 京太郎「そういうと思って」サッ 優希「さんきゅー☆」 優希「そういえば、のどちゃんはなんで呼ばないんだじぇ?」 京太郎「だって和は多分怒るだろ……」 京太郎「遊びに来たんですか? 須賀君は。とか」 京太郎「子どもですか、須賀君は。とか」 京太郎「最悪、「はぁ……」とか溜め息だけつかれてそのまま話が終わってしまう可能性がある」 優希「京太郎はのどちゃんを冷たく見過ぎだじぇ」 京太郎「そうかな……」 優希「……」 優希「いや、やっぱりそれで合ってるような気もしてきたじぇ」 京太郎「だろ」 和「お邪魔します」ガチャ 京太郎「和!?」 咲「さっきそこで会ったから一緒に来たんだ」 京太郎「(余計な事を!)」 和「白糸台の対策会議と聞きましたが」 優希「それウソだじぇ」 京太郎「おい!」 優希「京太郎が白糸台の大将に恨みがあるらしいから仕返ししたいんだってー」 京太郎「……」 和「……」 京太郎「すいません……」 和「そんなに卑屈にならなくても……」 和「一応、話だけでも聞きましょうか」 京太郎「き、聞いてくれるのか!?」 和「は、はい。まぁ一応」 和「個人的に白糸台の大将には少し、興味もありますから」 京太郎「……」 京太郎「俺、和のこと過小評価してた……」 和「?」 咲「その言葉、使い方あってるか微妙だよね……」 … …… 和「酷いですね……色々と」 京太郎「だろ」 咲「(京ちゃんが仕返ししようとしてることも、色々に入ってると思うよ)」 京太郎「俺はどうすればいいと思う?」 和「そうですね……」 和「須賀君、ここは私たちに任せてくれませんか?」 京太郎「つまり?」 和「私たちが、必ず決勝で借りを返しますから」 京太郎「和……」 優希「(和ちゃん、話を終わらせにかかってるじぇ)」 京太郎「いや、やっぱりダメだ!」 京太郎「それじゃ俺の気が済まないんだよ!」 和「……」 和「直接的に仕返しするというのは、どうも……」 優希「いい加減諦めたらどうだー?」 咲「そうだよ京ちゃん、相手は女の子だよ?」 京太郎「決勝で咲が大星を飛ばして泣かせるって約束してくれたら諦める!」 和「子どもですか」 京太郎「言われた!」ガーン 京太郎「皆、ちょっと他人事すぎないか?」 咲「そう言われても」 優希「実際他人事だじぇ」 京太郎「俺だって部員なんだぞ!?」 和「本人が言うと一気に価値が下がりますね、その言葉」 京太郎「皆経験してないからそんなことが言えるんだよ!」 京太郎「他人が舐めたアメを直に顔面だぞ!?」 京太郎「和もそんなことされたら嫌だろ?」 和「確かに嫌です……」 京太郎「仕返しを考えるだろ?」 和「いえ」 和「当たる前に躱します」シャキーン 京太郎「当たった程で話してるんだけど……」 京太郎「咲はどうだ?」 咲「私は…」 京太郎「嫌だろ?」 咲「うん……」 咲「私、泣き虫だからそんなことされたら多分泣いちゃうよ……」 優希「あー、泣かれたら相手も辛いはずだじぇ」 和「一番効果的かもしれませんね」 京太郎「俺も泣けば良かったかな……」 和「それは……」 優希「大の男が急に泣き始めたら、ぶつけた本人も驚いて引かれるだけだと思うじぇ」 京太郎「優希……」 優希「私か?」 京太郎「大乱闘になることうけあいだな」 咲「あぁー…」 和「確かに」 優希「みんな失礼だじぇ」 京太郎「あー、今思えばなんか優希に似てたかも」 優希「おい」 咲「この人が?」 咲「破れてビリビリになってるけど……」 和「あまり似ているとは思えませんね」 京太郎「いや、外見じゃなくて」 京太郎「知能指数が」 優希「私をなんだと思ってるんだじぇ」 久「まだやってたの、須賀君」ガチャ 京太郎「部長」 久「もう適当に控室にでも赴いて、御校の生徒の落し物ですとか言ってきたら?」 京太郎「あっ、それいいですね」 京太郎「その場で他の部員でも居たら俺が受けた被害をそのまま伝えられますしね」 咲「え、そんなのでいいの?」 優希「アッサリ決まったじぇ」 和「(そんな完全アウェーの場所に1人で行くつもりなんでしょうか……)」 久「どうでもいいけど、皆夜更かしは無しでね」 京太郎「はーい」 優希「ほーい」 咲「はい」 和「はい」 … …… 菫「淡」 淡「はい……」 菫「照」 照「なに……」 菫「何故自分達が正座させられているか分かるな?」 淡「まったくもって!」 照「なんで?」 菫「よーし、5分追加ー」 淡「鬼ー!」 照「菫、酷い……」 菫「お前が自信満々に自分の働いた悪事を自慢してきたときは流石に頭が痛くなったぞ、淡」 淡「だ、だって……」 菫「照、お前は親切にしてもらった方じゃないのか?」 照「違う」 菫「どういうことだ?」 菫「淡の話は間違っているということか」 淡「えぇ!?」 照「確かに案内はしてもらった」 照「だけど意地悪もされた」 菫「初耳だな」チラ 淡「うぅ」 菫「で、どんなことをされたんだ? 答えによっては見方を変えるかもしれん」 照「……」 照「……」 菫「やはり嘘か」 照「違う、菫はいちいち早すぎ。我慢が足りない」 淡「そーだそーだ!」 淡「この裏切りものー!」 菫「私はむしろお前たちの行為に裏切りを感じているんだが……」 菫「で、結局何をされたんだ?」 照「ぐ…」 菫「あんな大見得切ったんだ、まさか嘘じゃないよな?」 照「……」 菫「……」 照「……こ」 菫「こ?」 照「こ、言葉責め」 菫「(案内する相手に言葉責め?)」 『本当にドジで方向音痴ですね、あなたは』 『仕方ないから僕が案内してさしあげましょう』 菫「……」 照「……」 菫「ツンデレ?」 照「?」 菫「舐めたアメをぶつけるなんて、今時幼稚園児でも思いつかんぞ」 淡「幼稚園児……」ガーン 菫「第一、照は止めるべきだろ」 照「私はちゃんとアフターケアをした」 菫「ほう、どんな?」 照「ティッシュで拭いてあげた」 菫「顔に付着したアメの上にティッシュか」 照「そう」 菫「……」 菫「はっはっは」 菫「お前らは悪魔か」 照「菫には負ける」 菫「さっきからブレないなお前」 94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 21 50 42.61 ID Jd4ppuXao このポンコツコンビww 95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 21 54 41.59 ID L5+/m9Wbo ティッシュのカスが付くな 96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 22 15 12.36 ID bExLrPaTo せめてハンカチにしろよww 97 : ◆j7coLoRPl6 [sage]:2013/03/04(月) 22 45 13.94 ID 4d2nN6c3o … …… 久「まこー、その卵焼きちょうだい」 まこ「別に構わんが……」 まこ「京太郎、昼も食べずに何処かへ行ってしもうたが。よかったのか?」 久「え、そうなの?」 咲「裸単騎がどうとか行って出て行きましたよ」 和「大丈夫でしょうか…」 まこ「試合に出んとはいえあまり自由にさせ過ぎるのもどうじゃろ」 久「……」 久「ごめん、それ多分焚きつけたの私…」 まこ「何処へ行ったんじゃ?」 和「多分、白糸台高校のところだと……」 まこ「白糸台ってあの軍隊みたいなところか」 まこ「おいおい、大丈夫なんか?」 久「……」 98 : ◆j7coLoRPl6 [sage]:2013/03/04(月) 22 45 52.25 ID 4d2nN6c3o … …… 京太郎『大星淡を出せー!』 『なんだお前は!』 『各部員、取り押さえろ!』 京太郎『離せ! 証拠品もあるんだ!』 【清澄高校一年生、ロリポップを持って王者白糸台に突撃。初出場のプレッシャーか】 … …… 久「想像したら凄く心配になってきたわ」 まこ「気付くのがちょっと遅過ぎやせんか」 久「こうしちゃ居られないわ」 久「優希! 須賀君を止めてきて!」 和「優希なら、タコスを買いに行っていて居ませんが」 まこ「いや自分で行けよ」 99 : ◆j7coLoRPl6 [sage]:2013/03/04(月) 22 47 07.71 ID 4d2nN6c3o 久「まこ、着いてきて!」 まこ「1人で行け」 久「え、冷たくない」 まこ「自分の蒔いた種じゃろ…」 久「違うのよ……いや、そうだけど……」 久「正確には違うのよ!」 まこ「……」 和「部長……」 美穂子「差し入れに来ましたー」ガチャ 久「!」 久「美穂子! グッドタイミング!」 美穂子「た、竹井さん?」 美穂子「どうされたんですか?」 久「お願い美穂子! 力を貸して!」 久「須賀君が暴力事件を起こしそうなの!」 美穂子「ほ、本当ですか!? 大変!」 まこ「(よくもまぁ……)」 久「私1人じゃ止められないわ、お願い!」 美穂子「で、でも…私なんかが……」 久「大丈夫、美穂子なら出来るわ」 久「あんなに規模の大きな風越をまとめるキャプテンですもの」 久「お願い、力を貸して」 美穂子「竹井さん……」 咲「……」 和「……」 まこ「……」 久「(あぁ、私の信頼がリアルタイムで崩れ落ちていく……)」 … …… 淡「菫、酷い……」スタスタ 尭深「部長の言ってること、間違ってないと思うけど…」 淡「先輩酷い!」 淡「一体どっちの味方なの!?」 尭深「今はちょっと、淡ちゃんの味方には付き辛いかな……」 淡「うー」 尭深「ほら、一緒に探してあげるから……がんばって探そう?」 淡「……」 尭深「淡ちゃん?」 淡「私ってかわいそう……」 尭深「(この子もブレないなー)」 京太郎「おい、ちょっと待てそこのチビ」 淡「誰がチビだ!」クル 尭深「(真っ先に反応しちゃってるよ…)」 京太郎「お前、忘れたとは言わせねえぞ」 淡「あ!」 尭深「(グルグルキャンディを手に持ってる……誰だろ)」 淡「あの時の変態!」 京太郎「大声でその俗称を呼ぶのはやめろ!」 尭深「(いきなりビンゴですか)」 … …… 久「あれ、あそこに見えるの…」 美穂子「す、須賀君でしょうか」 美穂子「誰かと話してるみたいですね」 久「あれ、白糸台の制服じゃ…」 美穂子「そんな……た、大変です!」 美穂子「一触即発です!?」 久「……」 久「(この子を連れてきたの、間違いだったかも……)」 美穂子「止めないと!」 久「待って、美穂子」 久「もう少し様子を見ましょう」 美穂子「竹井さん……」 久「私は須賀君がそんなにすぐ暴力に訴えかける子だとは思ってないの」 美穂子「ご、ごめんなさい 私ったら」 久「(それに近い行動には速攻で出てるけどね)」 … …… 尭深「すいません、私たちの後輩がご迷惑をおかけしてしまった様で……」ペコ 京太郎「い、いえいえ! そんな、顔を上げて下さい」 淡「もう帰っていい?」 京太郎「お前は待てよクソチビ」 淡「さっきからなんなの! チビ、チビって!」 淡「大体、私よりたかみーの方が身長低いんだから!」 尭深「えっ、私?」 京太郎「……」 京太郎「いや、お前の方が小さい」 淡「どこ見て言ってんの!?」 尭深「?」 淡「やっぱりこいつ変態だ!変態、変態!」 京太郎「さっきから変態、変態と……」 京太郎「だが、これを見ても同じことが言えるのか?」 淡「そ、それは!」 尭深「グルグルキャンディ…ですか?」 京太郎「そうです! しかもそこのチビ、大星淡が舐めて俺にぶつけた物!」 尭深「(何故回収してきたんでしょうか)」 淡「そ、そんなもの見せてどうするつもりなの……」 京太郎「これがある限り俺の優勢は揺るがん!」 淡「ぐぬぬ……」 尭深「……」 尭深「あ、あの」 京太郎「はい」 尭深「どうして、そのアメを持っていると優勢になるんですか?」 京太郎「えっ」 京太郎「……」 淡「もしかして、何も考えてなかったんじゃないのー」 淡「ぷぷぷっ」 尭深「(淡ちゃん、思いっきり不利そうな顔してたけどね……)」 京太郎「さっきからお前なんなんだよ!?」 淡「いひゃいいひゃい!ほっふぇはひっはるな!」ビヨーン 京太郎「この!」 淡「ひゃめろへんふぁい!」グニャグニャ 京太郎「無駄にもちもちしやがって!」 尭深「(気に入ったのかな……)」 … …… 美穂子「ああっ! ついに須賀君が暴力を!」ガーン 久「じゃれあってるだけに見えるんだけど」 久「(隣の子も全然止めてないし…)」 美穂子「止めに行ってきます!」ダッ 久「えっ!?」 久「(いつもは引っ込み事案な美穂子がここぞという時に発揮する行動力が……)」 久「(まさかこんな時に発動するなんて!)」 久「私も止めなきゃ!(美穂子を)」 久「……」 久「(やっぱり、なんか面白くなりそうだからもう暫くここで様子を見ようっと)」 美穂子「須賀君!」ダッ 京太郎「ふ、福路さん!?」 淡「はれ?」 美穂子「暴力振るっちゃダメ!」 京太郎「すいませんでした」パッ 淡「うぅ~……」ヒリヒリ 淡「先輩も止めてよー…」 尭深「淡ちゃん、楽しそうだったから。つい」 淡「全然楽しくないよ……」 美穂子「大丈夫?」 淡「う、うん」 美穂子「須賀君、どうしてこんなことしたの?」 美穂子「私、私……」フルフル 京太郎「うわぁぁぁぁぁ!!」 京太郎「ごめんなさいごめんなさい!」 京太郎「お願いだから泣かないで下さい!」 淡「……」 尭深「……」 久「(須賀君は完全にオリの体制ね)」 まこ「何しとるんじゃ」 久「まこ!?」 まこ「心配して見にきてみれば……」 久「返す言葉もないわ……」 … …… 京太郎「という訳でー」 京太郎「第二回チキチキ白糸台対策会議~」パチパチ 咲「わー(棒)」パチパチ 和「……」パチパチ 優希「……」モグモグ 京太郎「そこ! 食べるな!」 京太郎「2回目はマジで行く、俺は本気だ」 優希「どうせ中途半端にヘタレて気まずくなるだけだじぇ」 京太郎「最悪、あいつが嫌な気分になるならそれでも構わん!」 和「執念ですね」 咲「もうやめた方がいいと思うな…」 咲「福路さんも悲しんでたし」 京太郎「う!」 和「あまり言いたくありませんでしたが…」 京太郎「なんてな、分かってるよ」 京太郎「お前ら、試合があるもんな」 京太郎「迷惑かけて悪かった」 京太郎「ま、今日くらい一年皆で集まってなんか遊ぼうぜ」 咲「え、もういいの?」 京太郎「おう」 京太郎「これ以上引っ張ってもお前らに悪いし、俺も大人気なかったからな」 和「大人になりましたね、須賀君」 京太郎「そ、そうか?」 咲「うん。ちょっと見直しちゃったよー」 優希「ま、京太郎なりにはなー」 京太郎「バカにすんな」 京太郎「俺だってちょっとは考えてんだよ」 咲「それじゃ、ジュースで乾杯しよっか」 和「いいですね」 京太郎「それじゃ、清澄の優勝を願って!」 「「「「乾杯!」」」」 ~大会終了後~ 菫「淡はどうした?」 誠子「ちょっと夜風に当たってくるって言ってました」 菫「なんだその台詞……ドラマの見過ぎじゃないのか」 尭深「淡ちゃん、団体戦で負けた事を気にしてるんだと思います」 菫「分かってる」 誠子「照先輩もずっとあんな調子だし……」 照「……」ボー 菫「だが仕方ない事だ」 菫「私たちはベストを尽くしたんだ」 菫「それでも負けたんだ」 菫「淡の負けじゃない。私たちの負けだ」 菫「いくら言ったところで結果は覆らないさ」 尭深「部長……」 京太郎「折角優勝したんだからちょっとくらい奮発してやらないとな」ガサ 京太郎「自分の小遣いが少しくらい減ったって……」 京太郎「減ったって……」ズーン 京太郎「……」 京太郎「おっ?」 淡「……」ボー 京太郎「公園のベンチで何してんだあいつ」 京太郎「おーい」 京太郎「(いや、ちょっと待てよ)」 京太郎「(よく考えたら勝った学校が負けた学校に声かけるってマズいんじゃないか?)」 京太郎「(あいつ、かなり接ってたしな……)」 京太郎「(しかも俺、試合にすら出てないし)」 京太郎「うーん」ウロウロ 淡「……」ボー 京太郎「(このまま帰るべきか……)」 淡「……」ボー 京太郎「うーん」ウロウロ ヒュッ 京太郎「いてっ!」コツン 淡「周りでうろちょろすんな!」 京太郎「だからって石ぶつけんなよ……」 淡「何してんの」 京太郎「いや、買い出し…」ガサ 淡「優勝校はパーティってワケ?」 京太郎「あー……まぁ、それは」ポリポリ 淡「ふー」 淡「私……出なきゃ良かったなー」 京太郎「ん?」 淡「去年までは優勝してたのに……」 淡「最後の最後で、先輩達の最後の大会をダメにしちゃった……」 京太郎「……」 京太郎「(内容重ッ!)」 淡「わ、私……」 京太郎「お、おう」 淡「……」 淡「清澄のアホーッ!!!」 京太郎「!?」 淡「お前のせいだ!お前の!」 京太郎「俺は試合に出てねぇよ!」 淡「うるさい! アホー!」ヒュッ 京太郎「うわっ! 砂投げんな!」 淡「バカー!」 京太郎「やめろっての!」 淡「……」 淡「お菓子寄越せ!」ガサガサ 京太郎「おい!」 … …… 淡「ふーっ、食った食った」ゲプ 京太郎「あぁ……奮発した高級チョコが……」 淡「ざまぁないね!」 京太郎「お前、絶対太るぞ」 淡「……」 淡「もう知るか!」 淡「横綱になってやる!」 京太郎「お、電話」プルル 京太郎「あ、部長ですか…はい、すみません、すみません……すぐ帰りますんで」ペコペコ ガチャ 京太郎「……」ツーツー 淡「帰るの?」 京太郎「あぁ、皆待ってくれてるみたいだしな」 京太郎「お前も帰れよ、仲間が待ってんじゃねーの?」スタッ 淡「……」 淡「待てっ!」ピョン 京太郎「うおっ!?」 京太郎「いきなり乗っかんなよ!」 淡「帰る前に送ってけ!」 京太郎「はぁ!?」 京太郎「……」 京太郎「ったく、仕方ねーな」 淡「安全運転でな!」 京太郎「はいはい」 京太郎「分かりましたよ、お姫様」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2115.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1344350783/ 京太郎「なんかこう、新感覚を味わいたいんだよな…」 京太郎「よし!今日は心機一転して照で抜こう!」 京太郎「チャンピオンの宮永照か…いいかも…」 京太郎「確か部室にビデオがあったはず…」 京太郎「あった!これで抜くか…」 シコシコシコシコシコシコシコ 京太郎「うおおおおお出るうううう‼」 深堀「誰かいるの?」 京太郎「!?」 京太郎(うわあああああああなんで風越の深堀がこんなところに!?) 深堀「部室から何か音が…それにこの匂い…」 京太郎(どうしようどうしようどうしようどうしよう) 京太郎(ハッ!そうだ!あいつを踏み台にしよう!) 京太郎(ってどういう事だ?まあいい!行くぜ!) 深堀「失礼しまーす…ってキャッ!」ドンッ 京太郎「悪いな!踏み台にさせて頂くぜ!」 深堀(なんであの人ズボン履いてないんだろ…?でもかっこいい///) 京太郎「ここまで来れば大丈夫だろ…」 小鍛冶「京太郎くん…だよね…?清澄の…」 京太郎「あ、はい。ってあなたはアラフォーの小鍛冶プロじゃないですか!」 小鍛冶「アラサーだよ!」 京太郎「す、すいません…」 小鍛冶「もう…ところで君はなんでこんなところに?」 京太郎(オナヌーして逃げてきたとは言えない…) 京太郎「いや~そのオナニーをしてまして…」 小鍛冶「ほええっ?」 京太郎(しまった…何言ってんだ俺…) 小鍛冶「あの…それはどういう…」 京太郎(こうなったらセックスをするしかない!) 京太郎「小鍛冶プロ!すいません!」 京太郎は小鍛冶を押し倒した。 小鍛冶「ふええ?京太郎くんいきなり何を…」 京太郎「セックスさせて下さい!」 小鍛冶「ええええええええええええええ!?」 小鍛冶(ちょっ…どゆこと?今まで男性経験なんてないアラサーの私が急にこんなイケメンに押し倒されるなんて…) 京太郎「いきますよ…」 小鍛冶「えっ…えーと…うん…//」 福与「あんたらそこで何してんの?」 小鍛冶「こ、こーこちゃん、これは…その…」 京太郎(この人は確か小鍛冶プロと仲が良いアナウンサーだ…ヤバイな…) 小鍛冶「その…京太郎くんが…」 京太郎「すみません。僕たちは新婚ごっこをしてたんです。」 福与「新婚ごっこ?そうなのすこやん?」 小鍛冶「そ、そうそう!彼氏ができた時の為の練習に付き合ってもらってたんだ!」 小鍛冶「じゃあまたね!京太郎くん!ほら行こうこーこちゃん!」 福与「ちょっ…すこやんまってよー」 京太郎(助かった…) 京太郎「もう家に帰ろう…」 三尋木「あれ?京太郎じゃん。」 京太郎「あ、三尋木プロ…どうも…」 三尋木「何か元気無いねーどうかしたの?」 京太郎「ちょっと色々ありまして…」 三尋木「ふーんそうなのかー。じゃあ家来る?知らんけど。」 京太郎「えっ…」 三尋木「今日は仕事も無くてちょうど暇だったんだー。」 京太郎「えーと、じゃあおうどんで。」 京太郎(自分で言っといて何だがこの流れでおうどんはおかしいだろ…) 三尋木「あははーこの流れでうどんはおかしくねー?知らんけど。まあ良いよ、一緒にうどん食いに行くかー。」 京太郎「はい!」 そして京太郎と三尋木プロは一緒にうどんを食べて帰ったとさ。 完 京太郎「なんか長い夢を見てた気がする…」 京太郎「それにしても咲で抜くのももう飽きたな…」 京太郎「なんかこう、新感覚を味わいたいんだよな…」 京太郎「よし!今日は心機一転して部長で抜こう!」 京太郎「部長か…確かに身近にいるのにそういう感情で見たことは無かったな…」 京太郎「それじゃあどうやって抜こうか…写真で抜くか…それとも装飾品を盗んで抜くか…」 京太郎「そうだ!部長の持ち物をオナホ替わりにして抜くんだ!」 京太郎「とはいっても何がいいんだろう…」 京太郎「膣とかかな…?」 京太郎「膣…?って部長本人じゃねーか!」 京太郎「でも、気持ち良さそう…」 京太郎「ハッ!いかんいかん!こんな事したら終わる!色々と!」 京太郎「とにかく部長関係の物を探すか…」 久「あら、私がどうしたって?」 京太郎「ぶ、部長!?」 京太郎(まずい…言い訳を考えないと…) 京太郎「じつは今から咲とセックスするんですけど早くイキすぎたら嫌なんで部長で一発ヌイときたいんです。」 久「なるほどねー、確かに早くイキすぎちゃったらかっこ悪いわよね。いいわ抜いてあげる。」 京太郎「ありがとうございます!」 久「別に良いわよお礼なんて。それより早く脱ぎなさい。」 京太郎「はい!」 京太郎(超ラッキーだぜ!咄嗟の言い訳がまさかこんな事になるとは!) 久「うーん、私だけじゃ心配ね…」 久「そうだ!龍門渕のキャプテンを呼びましょう。あの人芸人みたいで面白いし。」 数分後 透華「お待たせいたしましたわ。それで頼みというのは?」 久「よく来てくれたわね。実はかくかくしかじかで須加くんを抜いてあげる事になったの。」 京太郎「お願いします。」 透華「まあ。そういう事でしたら…。ハギヨシ!」 ハギヨシ「お呼びでしょうか透華お嬢様。」 久「いや、そういう事じゃなくてね…」 京太郎(まだなのかよ…こうなったら!) 京太郎「もう我慢できねえ!抜かずに八時間ずっとヤってやる!」 久「ちょっと…ってキャアアア!」ヌプッ 京太郎「部長の中あったかいです。」 久「やめ…て…須加君…」 京太郎「中に出しますよ!」ドピュッ 京太郎「まず一回目…。次…」 透華「ひっ…ハギヨシ!助けるのですわ!」 ハギヨシ「かしこまりました。」 京太郎「邪魔だ!」ズプッ ハギヨシ「はあ…//あんっ…///気持ちいい…です…///」 京太郎「出る!」ドピュッ 京太郎「二回目…。次…」 透華「ヒイイイイイ!誰か助けるのですわ!」 亦野「どうしたんだい?」 透華「あなたは白糸台の亦野さん!」 亦野「ここは俺が食い止める!お前は逃げろ…ってはああん///気持ちいいよお…//」 京太郎「あ、出る。」ドピュッ 京太郎「もう逃げられないぞ…」 透華「万事休すですわ…」 アナ「京太郎選手。そろそろやめたらどうですか?」 京太郎「あんた誰だよ」 アナ「私ですか?私は…イックウウウウウ!!!」 京太郎「ふう…」 透華「」 霞「もうやめなさい。この娘も連れてきてあげたわよ。」 咲「京ちゃん!」 京太郎「さ、咲…」 咲「もうやめてよ…!こんなの京ちゃんじゃないよ!」 京太郎「咲…」 咲「元の優しい京ちゃんに戻ってよ…ね?」 京太郎「…すまない咲…俺…熟専だった…」 胡桃「」 咲「そうだよ!京ちゃんがこんなに若い子とヤるなんておかしかったんだよ!」 京太郎「ありがとう咲!俺アラフォーさんのとこ行ってくる!」 咲「うん!私はいつも通りの元気な京ちゃんが大好きだよ!」 京太郎「ああ、本当にありがとうな!」 完
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2279.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1363953446/ 扉があった。 閉まっていて、もう開かない。 それだけ。 弘世菫は、名門白糸台高校の女子麻雀部の部長である。 その人徳と真面目な気性、そして何より。 白糸台における最大級の爆弾、宮永照の舵を二年間曲がりなりにも握れていた実績が、彼女が選ばれた最大の理由だ。 だがそれを彼女に伝えれば、彼女は反吐を吐いてからこちらに告げるだろう。 菫「アレの舵を握れる奴なんていない」 菫「私の忠告を聞くのは、あいつの気まぐれだよ」 菫「ハンドルを握っているように見えても、そもそもだ」 菫「ハンドルもブレーキも無視するタイヤが走るのを、誰が止められる?」 菫「アレは自分が行きたい方向にしか行かないし、生きたい様にしか生きないさ」 成程。全くもって正論である。 では、どう対処するのがいいのか? という問いを彼女にすれば。 菫「関わるな」 菫「地雷は触らない内は無害だ、わざわざ触りに行くことはない」 成程。全くもって正論である。 だがその方法は、提案した彼女自身は絶対に実行できないのだ。 地雷を処理する人間が必要であるように。 蜜柑の入った箱の中から、腐った物を選り分け捨てる人間が必要であるように。 貧乏くじを引く人間は必要で、それは誰かがやらなくてはならない。 そして彼女がそうする理由を、誰かが彼女に聞けば。 菫「誰かがやらなければならない事なら、私がやってもいいだろう」 菫「好きでやってる事じゃないが、誰かにやらせようとも思わない」 そんな風に、答えるに違いない。 そんな彼女も、全国の頂点に立つ白糸台の部長。 その実力はお飾りなどではない本物だ。一流と言って良い。 菫「……」 彼女の強さの基点となるのは、人並み外れた観察力と集中力。 これを用いて、待ちを寄せ相手の浮いた牌を狙い撃つ。 それが彼女が『シャープシューター』と呼ばれる所以。 しかし。 「リーチ。ダブリーね」 菫「(……こいつも、か?)」 そんな彼女も、勝てる相手と勝てない相手は存在する。 「カン」 「ツモ。見るまでもなく裏乗って、6000オール!」 菫「(少なくとも、普通の麻雀にはなってないな……)」 二年間。 二年間、弘世菫はただ一人、宮永照を近くで見続けてきた。 離れるでもなく、近づくでもなく。 その結果、彼女は『宮永照の同類』であるのならその眼を見れば判別する事が出来るようになる。 他人には絶対に真似できない、彼女だけの特質。 無論、彼女が望んで手に入れた力ではない。 そんな彼女が、今卓の向こう側に座る新入生の眼を見た結果。 菫「大星、淡といったか」 淡「はーい?」 菫「先輩には敬語を使え」 淡「えー、二つしか歳違わないんだからスミレでいいじ」 菫「使え」 淡「……はーい、菫先輩」 弘世菫は、まだこの子は取り返しが付きそうだと、そう思った。 一方その頃、菫の胃を激しく痛める二人の内片方は。 京太郎「……」 「……」 京太郎「お茶、美味しいですね。渋谷先輩」 尭深「そ、そうだね」 京太郎「……」 尭深「……」 京太郎「あ、お茶請け買ってきたんで、どうぞ」 尭深「わ、ありがとね」 京太郎「……」 尭深「……」 京太郎「……うん、美味い」 尭深「(……落ち着くなぁ)」 呑気に暖かいお茶で、胃を安らげていた。 尭深「(……あ、お茶切れちゃった)」 京太郎「……ん? あ、お茶淹れてきますね」 尭深「あ、えと、私がほとんど飲んでたんだから、私が」 京太郎「良いですって、先輩は座ってて下さい。俺、後輩ですし」 尭深「……あっ」 尭深「(……いい子だなぁ)」 ごく普通の光景だ。 何もおかしな所はない。 そう。 尭深「(私が喋らなくても、嫌な顔しないし)」 尭深「(……ちょっと、ぺちゃくちゃお喋りするのって苦手なんだよね)」 尭深「(それに、何も話してなくてもヤな空気にならないし)」 京太郎「お茶、入りましたー」 尭深「あ、ありがとう」 彼女の認識が根本的に間違っているという点に眼をつぶれば、何もおかしな所はない。 尭深「(……新入生は、私がお茶飲んでると変な顔するし)」 尭深「(慣れとかじゃなくて、普通に接してくれるのは嬉しいな)」 少年は笑顔だ。しかし。 ……笑顔は善い物だが、笑顔の下もそうであるとは限らない。 京太郎「(この人、良い人だなぁ)」 京太郎「(良い人には、丁寧に接するのが常識だっけか)」 京太郎「(うんうん、それが普通だよな)」 例えば、目の前で転んだ子供が居たとする。 「かわいそうだ」「痛そうだ」と考えて、それから「助けてあげよう」と思うのは正常だろう。 だが、「助けるのが常識」「そうするのが普通」という思考だけで「助けてあげよう」と思うのは、明らかに異常である。 無論、そういう気持ちは誰の中にもある。 だが微塵も他人に同情していない状態で他人に向けられる善意は、普通はありえない。 まるで、人間のフリをしている人形だ。 京太郎「(この人はどうでもいい人だけど、良い人だし、優しくするのが普通だよな)」 表面上の付き合いをする内はいい。 それなら『ボロ』は出ないし、互いにいい人だという認識程度で終わる。 だが一歩踏み込めば、そのおぞましさに恐れおののく以外の結末はありえない。 ヤマアラシが考え無しに互いに踏み込めば、ただ血まみれになるだけだ。 京太郎「茶碗熱いんで、気を付けてくださいね」 尭深「あ、うん。ありがとう」 特に、相手に対して踏み込もうとしない内気な性格なら。 あまり喋らない、相手の内心を自分の中で推測して完結しがちな性格なら。 尭深「(この人、良い人だ。優しい後輩ができたなぁ)」 京太郎「(この人、本当にいい人だな)」 下手をすれば、最悪一生。 『これ』を良い人だと思って、生きていくのではないだろうか。 『腐りかけ』。 それが彼女の、とある新入生の眼を見た時の第一印象。 菫「(大星淡……まだ、たぶん手遅れじゃない。なら)」 菫「淡」 淡「なにー?」 菫「(念は押しておくべきだ。私は、そういう立場にある)」 菫「入部するにあたって、お前に一つ注意しておく事がある。それと敬語を使え」 淡「はーい」 菫「(……まあ、敬語の方はおいおい定着させていけば良いか)」 菫「いいか? 二人、お前が近付くべきじゃない人間が居る」 淡「え? なに? 危険人物ってやつ?」 菫「いや、触れなければ害はない。だから、近付くな」 淡「ふーん……? で、なんて名前?」 菫「宮永照。ここのエースと、そいつがいつも連れてるであろう須賀という――」 淡「やだ」 菫「は?」 淡「やだよ、そんなの」 菫「待て、詳しく説明をすると長くなるが、お前の為にも……」 淡「私、ここに宮永照を倒しに来たんだから」 菫「……は?」 淡「ふふん」 淡「日本人なら誰だって知ってる、高校生最強!」 淡「そいつを倒しちゃえば、誰がなんと言おうと文句なく最強でしょう?」 淡「テレビで見た時から、ずーっと思ってたんだ」 淡「挑んでみたいって、勝ってみたいって!」 淡「あの人が立ってる場所に、私も立ってみたいって!」 淡「それが私の夢。だから私、その忠告は聞けないな」 キラキラした眼で、夢を語る淡。 腐敗しかけた瞳が、その間だけは真っ当な方向に戻る淡。 そんな彼女を見て、菫は。 彼女が腐り切ってはいない理由の一端を見た、菫は。 菫「(……ああ、くそったれめ)」 菫「(本当に、ままならない)」 菫「(神なんてものが本当に居るのなら、例え雲の上だとしても撃ち抜きたい気分だ)」 苦虫を噛み潰したような顔になりそうな自分を、必死に抑えていた。 菫の心中は、嬉々として崖に向かう者を見る心境だ。 菫は黙して見るには責任感がありすぎて。 淡を止めるには、力が足りなすぎた。 言葉だけでは『彼等』の危険性を伝えるには足りなすぎて。 実際会わせるには、淡にとって危険過ぎる。 だから菫が選んだ答えは、結局ベターな選択肢。 菫「……わかった、もう止めない」 淡「マジで!? やたっ」 菫「だが一つ、条件がある」 淡「なにー?」 菫「照と最初に会う時、私も同席させてもらう」 淡「……もー、心配症だなぁ」 菫「立場に付属する責任というものがある。約束できなければ、私もしつこく食い下がるぞ」 淡「はいはい、約束するよ」 菫「……本当に、分かってるのか?」 淡「私だって、菫先輩が本気で心配して言ってくれてる事くらい分かってるもん」 菫が心配しているのは、似ているからこそ、近いからこそ淡が引っ張られる可能性。 あちら側に半歩踏み出している淡が、完全に向こう側に行ってしまうかもしれない可能性。 淡「約束する。それは、ちゃんと守るから」 菫「……そうか。それなら、良かった」 淡「何か、私のお母さんみたい」 菫「それは若く見えんということか」 淡「痛い痛い、グリグリしないでー!」 菫「(……まあ、心配は要らないか)」 こんなにも真っ直ぐなら。 こんなにも素直なバカなら、きっと大丈夫。 淡は向こう側には行かないし、自分がそうならないように止めてみせる。 弘世菫は心の片隅で、そう誓いを立てた。 彼女はこの時の見通しの甘さを、長い間後悔し、苦悩し続ける事になる。 菫「それじゃあ、私は職員室に行ってくる」 淡「いってらっしゃーい」 菫「……すまん、危なっかしいコイツを頼む」 「はい、部長」 「おまかせですよっ」 部長として、部の用事を片づけに職員室に向かう菫。 見送る淡。 菫に頼まれた、名も無き部員二人。 結果的に言えば、これが運命の分岐点だったのかもしれない。 分かれ道の良し悪しなど、行ってみなければ分からないのは当然だが。 淡「……ん? アレ、誰?」 「あー、あの子? 宮永先輩の幼馴染さんだって」 「ふっつーの子だよ。麻雀弱っちいけど。あと私達先輩だから敬語ね」 淡「ふーん……?」 道の先に崖が待っているのなら、その選択は間違いだったと、断じて言える。 ――いいか? 二人、お前が近付くべきじゃない人間が居る ――宮永照。ここのエースと、そいつがいつも連れてるであろう須賀という ――照と最初に会う時、私も同席させてもらう 淡「もしかして、須賀ってやつ?」 「そうだねー。須賀京太郎君」 「部長から聞いてたの?」 淡「(……スミレとの約束は、宮永照とだけだしね)」 淡「(なら、別に良いよね? あのチャンピオンの幼馴染ってんだから、弱くはないでしょ)」 淡「(スミレがあれだけ危険視してるヤツが、どんなのかすっごく気になるし)」 結果的に言えば。 淡「よっす、そこの少年!」 淡「私も新入生なんだけどさ、ちょっと打ってみない?」 弘世菫が出かけた隙の、この一局。 これが彼女の人生、最後にして最大の失敗だった。 大星淡は、片足を邪道、もう片足を王道に突っ込んで歩いている。 扉を開きつつも、扉の向こう側の素晴らしさを知りつつも、その誘惑に負ける事無く。 今まで培って来た物をないがしろにする事も無く。 人を大事にして、人の気持ちを理解して、人に心から優しくしてきた。 そんな彼女は無邪気で、無垢で、今までの人生において無敵であった。 完全に向こう側に行ってはいないから、どちら側の気持ちも理解できる。 かと言ってこちら側でもないから、常人では歯が立たない。 そんな彼女は意識せずとも生来の性格で周囲に好かれ、彼女も周囲に好意を向ける。 腐りかけとはそういう事だ。 人の理の外側と内側の丁度境界に彼女は立っている。 夢、友情、絆、信頼、愛。 そういったものを、彼女は捨てては来なかった。 だから彼女にとって、完全に『向こう側』の人間と相対するのはこれが初体験である。 淡「(手は、抜かないから)」 淡「(弱かったら、さっさと飛んでいいよ)」 淡「リーチっ!」 「え、嘘ダブリー!?」 「安牌とか無いって、勘弁してよ……」 京太郎「(……んー)」 大星淡には、二つの武器がある。 最強の盾と、最強の矛だ。 矛盾は、その二つを一人の人間が持つのなら矛盾しない。 盾は『絶対安全圏』。 そこに最速であるダブリーと、槓裏の火力を乗せた矛。 常人であれば何も出来ず、ただ蹴散らされるだけの圧倒的な力だ。 淡「カン」 京太郎「(……どれだ?)」 淡「ツモ! ダブリー裏四、3000・6000!」 「(なんで裏ドラも見ないで、この子……)」 淡「(……なんか、期待ハズレ)」 淡「(弱っちいし、感じるものも無いし)」 淡「(同卓してる二人も、全然強くないし)」 淡「(これならスミレやセーコの方が、ずっと強かった)」 淡「(あーあ、つまんない)」 現代における麻雀のセオリーの一つに、『5向聴ならオリろ』というものがある。 配牌の向聴数の平均値が3~4であるため、そこまで配牌が悪いのならいっそ切ってしまえ、というものだ。 この事からも、絶対安全圏の『他人の配牌を5向聴以下にする』という特性の強力さが伺える。 加えてダブリーに、役を問わない槓裏。 待ちは読めない上に、高火力。まったくもってふざけるなという能力だ。 能力者でなければ抗う事すら出来ず、生半可な能力であれば蹴散らされる。 まるで、王者となるべくして創られたかのような能力だ。 京太郎「凄いな、お前」 淡「ん?」 京太郎「『それ』でそこまで強いなんて」 淡「ふふん。まーね、それほどでもあるかな」 京太郎「何か、目標でもあったりするのか?」 淡「もっちろん。アンタにも関係あることだしね」 京太郎「俺?」 淡「私の目標は、打倒宮永照!」 淡「そんでもって、テッペン取る事!」 淡「そのためにも、もっと強くならないとね!」 京太郎「……? お前、強くなりたいのか?」 淡「あったりまえでしょ。強くなりたくない奴なんて居るの?」 京太郎「そうか……強くなりたいのか」 小さな親切。 京太郎「分かった。俺も手伝おう」 大きなお世話。 淡「……あれ?」 違和感。 それは、手牌が来る直前に感じた事。 今まで手の中にあったものが、すっぽりと抜けてしまった感覚。 掴めていたものが、急に遠くに行ってしまった感覚。 そして、体内をまさぐられるような不快な悪寒。 手牌を見た瞬間、その正体の一端を彼女は理解した。 淡「(……テンパってない!?)」 淡「(え、ウソ、なんで!?)」 そうしようと、彼女が思ったにも関わらず。 彼女の手牌は、配牌の時点で聴牌してはいなかった。 淡「(三人の捨て牌を見る限り……うん、絶対安全圏は、発動してると思う)」 淡「(何……なんなの、これ)」 じわり、じわりと、呑まれる。 足首から泥沼に浸かっていて、徐々に沈んでいく。 そんな感覚だけが、この卓を包んでいく。 淡「(手が……進まない)」 淡「(向聴が、変わらない)」 淡「(ありえないって、これ)」 大星淡の配牌時の向聴は、4向聴。 そして6巡目の現在。彼女の手牌は、いまだ4向聴のままだった。 不動の向聴。何をしようが、一向に手が進まない悪夢。 一度向聴をわざと戻してもみたが、次のツモで戻ってしまった。 淡「(……気持ち悪い)」 淡「(やだ、気持ち悪い)」 足元から這い上がってくる不快感。 蟻の群れが、肌の上を這いずりまわっている錯覚。 大星淡は、この悪夢の発生源をいまだに理解出来ていない。 淡「(……流、局)」 淡「(結局、何も出来ないまま、流局)」 淡「ノーテン」 「……ノーテン」 「……ノーテン」 京太郎「テンパイ。連荘だな」 淡「……え?」 淡「……ああ、そういう事」 淡「アンタ、だったんだ」 京太郎「? どうした」 淡「なんて、言うかさ」 淡「……私より終わってる人、この眼で見たの初めてかも」 気付けば、周りを見る余裕もできる。 淡「(私と、アイツ以外の二人)」 淡「(ひっどいことになってる)」 熱くもないこの部屋で、汗だくになって震える手で牌を掴む二人の名も無き部員。 ……冷や汗、である。 滝のように流れる冷や汗が服を濡らし、椅子に垂れ、水滴となって床に落ちている。 脱水症状で死んでしまうのではないか、とばかりの汗。 語るべくもない。彼女達は、淡よりも先にこの卓の本当の異常さに気付いていたのだから。 淡「(私の、絶対安全圏は……)」 淡「(途中から発動すら、してなかった)」 この卓で、本当に全員の配牌を支配していたのは。 他人の向聴を完全に固定し配牌で聴牌するという、淡にも出来ない事をしてのけたのは。 淡「(この、死骸みたいな笑顔の男)」 京太郎「流局だな。テンパイ」 淡「ノーテン」 「…ノーテン」 「…ノーテン」 京太郎「連荘だな」 他家全員の向聴を固定して、自分だけは聴牌できるのなら。 理論上、永遠に連荘を続けられる。 あくまで理論上だ。小学生が考えるような稚拙な論理。 だがその論理が、今現実としてこの場所にある。 これを悪夢と呼ばずして、何を悪夢と呼ぶのだろうか。 淡「(これ、もしかしてずっと続けるつもり?)」 淡「(誰かが、飛ぶまで)」 牌を山から取る。切る。牌を山から取る。切る。 これをただひたすら四人が、山が尽きるまで続ける作業。 これを麻雀と、呼んでいいのだろうか? 牌を切る音だけが流れる。 鳴いても無駄だ。結果的に、向聴は戻ってしまう。 よって全員、流れるまで無言となる。 牌を取って、切って、流れるのだけの作業。 既にこの卓を囲む四人の内二人は、心が折れている。 しかし、折れていない者も居る。 淡「(こんな所で折れてちゃ、てっぺんまで届かない!)」 淡「(私の目標は、もっと高いんだ)」 淡「(こんな所で躓いてなんて……!)」 そんな彼女の諦めない、強く輝く思考は。 京太郎「これも、閉じておくか」 そんな彼の発した、意味の分からない言葉で停止した。 淡「(……あれ?)」 大星淡も、扉を開けた人間だ。 だから扉と鍵という概念も、しっかりと分かっている。 淡「(……あれ?)」 だから彼の言葉から扉を連想し、ふと見直してみた。 自分の扉。自分の中の、自分を構成する要素である扉。 淡「……あれ?」 気付けば、何故か扉が片っ端から閉じられている。 閉じた覚えはない。閉じる理由がない。 淡「……あれ?」 そして、気付く。 目の前の男が牌を打つ度に、己の扉が一枚締まっていく事に。 淡「やめて」 鍵を持つ者なら、開く事も閉じる事も出来る。 そしてこの瞬間、須賀京太郎は鍵を司る力に関して、大星淡の上位に居た。 淡「やめてよ」 閉じられていく。もう開けない。 本人の意志と関係無く。 淡「やめて、やめて」 家族愛。 中学時代の友人。 進路の相談に乗ってくれた先生。 優しい近所の住人。 それらに対する感情が、扉を閉められる度に、削がれていく。 淡「やめてってば」 愛も、友情も、信頼も、絆も。 人間の中にある、扉の向こう側にあるものの一つでしか無い。 淡「お願いだから、やめて」 彼がこの卓をこういう状況にした目的は、ただ一つ。 時間が必要だったのだ。予想以上に、淡の中の『余分』な扉が多かったために。 淡「やめて、やめて、やめて」 もう逃げる事すら出来ない。 全員足に根が生えてしまったかのように、立ち上がる事すら出来ない。 ただ、牌を切っていくしか無い。 淡「だめ、だめだってば、やめて、お願い」 そして彼の手番が来れば、彼女の扉が一つ閉まる。 彼女の大切なものが、扉の向こう側に取り残される。 淡「いや、いやだ、いやだってば!」 そして彼女の心も、一つ欠ける。 京太郎「ああ、分かるぜその感覚。すっげー怖いんだよな、自分が自分でなくなるみたいで」 京太郎「大丈夫だ、最初は怖いけどそのうちだんだんどうでも良くなるから」 京太郎「そしてその内、余分なものが無くなって、素晴らしい景色が視えるようになる」 京太郎「経験者の体験談だ、信じろよ」 淡「そんな事して欲しいなんて、頼んでない!」 京太郎「? 強くなりたいんだろ?」 京太郎「それなら足を引っ張る余分な扉は閉めて、さっさと扉の先に進んだほうが早いんだよ」 京太郎「お前は俺より見込みがあるのに、俺より弱いのがその証拠だ」 淡「余分なものなんかじゃない! 私には大切なもので、捨てたくなんかない!」 淡「こんなものまで捨てたら、本当に『人間』じゃなくなっちゃう!」 淡「だからやめてってば! 私は、こんな――」 京太郎「大丈夫だ。やる前は俺もそんな事言ってたけど」 京太郎「やった後はどうでも良くなって悩む事も無くなった奴が、ここにいるだろ?」 京太郎「心配するな。終われば、どうでもよくなる」 淡「こんなの、麻雀じゃない……!」 京太郎「何言ってんだ、これも麻雀だろ?」 京太郎「麻雀って楽しいよな。一緒に楽しもうぜ」 薄れていく。 彼女の中の大切だったものが、薄れていく。 家族の顔を思い出す。 ……? あれ、私の家族、こんなのだったっけ? なんか、他人の家族の写真見てるみたい。 あれ、中学の時私の友達だった奴って、男だっけ?女だっけ?名前なんだっけ? まあいいや、どうでもいいし。 親友がどうでもよくたって、別に何か変わるわけでもないしね。 今日、夢とかなんか先輩に語った気がするけどなんて言ったんだっけかなー。 昨夜の晩御飯は思い出せるんだけど、ううん。 まあいいや。思い出せないって事は、どうでもいいってことだし。 あ、色違いの扉だ。 さっさと開けて、追いつかないと。 あー。 扉の向こう側は、やっぱ良いなぁ。 淡「……」 京太郎「ハッピーバースデー」 淡「……」 京太郎「おめでとう、大星淡」 淡「……」 京太郎「お前は今日一度死んで、生まれ変わった」 淡「……」 京太郎「気分はどうだ?」 淡「……最っ高」 京太郎「悪いな、乱暴なやり方になった」 淡「良いよ、別に」 淡「そんなどうでもいいことより、続き打たない?」 結果だけを言わせてもらうのなら。その卓は、僅差で淡が勝利した。 菫「……なんだ、これは」 菫「何故、こうなった」 菫「私か? 私が……私が、悪いのか!?」 帰って来た彼女を迎えたのは、新入生の生意気な後輩でもなく。 日常風景である、白糸台女子麻雀部の練習風景でもなく。 彼女の想像の遥か上を行く、悪夢の光景。 淡「キョータロー、ちょっと椅子に座ってよ」 京太郎「ん? まあいいけどよ」 淡「よいしょっ」 京太郎「……なんで、俺の膝の上にわざわざ座る」 淡「座布団無いし」 京太郎「我慢しろよそのくらい!」 淡「えー、役得だって素直に喜びなよ」 目の輝きが、穢され朽ちて腐り果て、終わり果てた少女の眼。 京太郎「ちょっとは役得だと思ってるけどな、前が見えねぇんだよ」 淡「……重い?」 京太郎「軽いぐらいだ、そっちは心配すんな」 淡「そっか、よかったー」 京太郎「……なんか、いい匂いするな」 淡「ちょ、かがないでよっ、エッチ!」 京太郎「お前から座っといてなんつー言い草だ」 菫「……おい」 京太郎「あ、弘世先輩」 菫「お前、これは、一体どういう」 淡「あ、菫先輩。お疲れ様です。用事はどうでしたか?」 菫「……!!」 敬語。 菫「お前、その、敬語は」 淡「あれ? 敬語を使えと言われたのでそうしたんですが……どうかしましたか?」 口調が、癖が、性格が。 そんなに簡単に、変わったりするものだろうか? 否、変わらない。だからこそ菫も、淡の口調を時間をかけて強制しようと思っていた。 しかし、菫につきつけられた現実は。 菫「(……ああ、そうか。淡)」 菫「(お前はもう、本当に……)」 そして、変えたのは。 菫「(照は向こう側ではあるが、この部で同類を増やした事はない)」 菫「だが、お前は……」 京太郎「? ええと、何か御用ですかね?」 菫「(……お前は。お前達は)」 菫「(この世に、存在すべきじゃない)」 菫「(お前達が在る事自体が、絶望的に間違っている)」 例え話をしよう。とある宗教には、全知全能と定義された神が居る。 しかしその神は、全知全能でありながら『悪』であるサタンという悪魔を生み出した。 悪として生まれた、悪になった、悪を行った、それは関係ない。 善く在れと、善く生きろと全ての存在に命じたにも関わらず、生み出したのだ。 神が全知全能であるのなら、神が許さなかった存在は生まれない。ならば何故なのか? それはつまり、『悪』であっても存在する事だけは許されるという事。 『悪』は否定され、いつか滅ぼされるものであっても、存在を否定される程のものではないという事だ。 必要悪という言葉が存在する時点で、それは当たり前の事。 でなければ、『贖罪』という概念の意味が分からなくなってしまう。 だが。それでも、存在を否定されるべき存在は居る。 菫「(悪でもなく、善でもなく。そのどちらにも存在を否定されるであろうお前達は)」 菫「(在るべきじゃないんだ、この世界に)」 菫「(……誰にも、止められないのか)」 ここで、視点は移る。 遠く離れた、清く澄んだ空気の満ちる地で。 「咲ちゃん咲ちゃん! もしかしてこの雑誌に乗ってるチャンピオンって、咲ちゃんの知り合いか?」 雑誌には、『宮永照』の文字。 「ううん。違うよ、優希ちゃん」 「私に、姉は居ないから」 「じぇ? そうなのかー」 華奢な体躯はどうにも健康的には見えないが、他者の目を引くのはその瞳。 雑誌を閉じた少女の瞳は、清濁併せ呑む器の大きさを持ちながら。 どこまでも清く澄んだ、美しい輝きを宿している。 「……待っててね」 そして、その視線の先は。 彼女の友人が持ってきた、その雑誌に注がれていた。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1014.html
【咲 -Saki-】 須賀京太郎カプ統合スレ 11 h11-1 京太郎熟睡・マホ編 h11-2 京太郎熟睡・プロ編 h11-3 Kちゃんぬいぐるみ、序章 h11-4 京太郎熟睡(2週目)・清澄、阿知賀編 h11-5 Kちゃんぬいぐるみ、大阪にて h11-6 Kちゃんぬいぐるみ、東京にて h11-7 Kちゃんぬいぐるみ、奈良にて h11-8 京太郎争奪戦 h11-9 京太郎争奪戦 長野 h11-10 京太郎熟睡(2週目)・白糸台編 h11-11 京・清澄 アルバム h11-12 Kちゃんぬいぐるみ、岩手、宮守にて h11-13 Kちゃんぬいぐるみ、九州にて h11-14 京・哩 h11-15 京・尭深 h11-16 Kちゃんぬいぐるみ、長野にて h11-17 京・咲 h11-18 京・清澄 恋愛ハウツー本 h11-19 京・咲 h11-20 京・洋榎 h11-21 京・清澄 h11-22 京・久 h11-23 京・菫 h11-24 京・照・咲 h11-25 おもちぶらり旅・番外編1 h11-26 1年生集合させてみた その1 h11-27 京・菫 h11-28 1年生集合させてみた その2 h11-29 京・阿知賀 h11-30 京・誠子 h11-31 京・憧 h11-32 1年生集合させてみた その3 h11-33 京・憧 h11-34 1年生集合させてみた その4 h11-35 尭深 h11-36 京・淡・照 h11-37 京・淡 h11-38 2年生集合させてみた その1 h11-39 うさぎちゃんとアリスくん 第三部その1 h11-40 2年生集合させてみた その2 h11-41 うさぎちゃんとアリスくん 第三部その2
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1261.html
愛宕家で誰のKちゃんぬいぐるみがかわいいか言い争い 淡とデート 京太郎が白糸台にいます クロチャー、Kちゃん紛失 時間は2回戦終了時です 西田記者が全国各地でKちゃんぬいぐるみの取材に行く 本編等と設定が異なる場合があります 千里山での九州限定Kちゃんを賭けた大騒動 Kちゃん争奪脱衣麻雀大会 レジェンド、ハギヨシがお詫びに来る 新子姉妹で取り合い もこ、ダークフレイムマスターKちゃんゲット しゃべるKちゃんぬいぐるみ新道寺編 竜華、Kちゃんにひざまくら 咏さんと京ちゃんと着物 仁美、政治家ぬいぐるみにいらいらをぶつける はやりんの番組に京太郎出演 クロチャー、京ちゃんとToLOVEる発生 新免さん、カイル風Kちゃんゲット トシさん、みんなのためコネを使ってKちゃん集める 明華、膝枕してて…… ハオ、明華に対抗して膝枕で…… ダヴァン、京太郎とラーメン屋巡り 智葉も京太郎に膝枕で…… 春、明星と十曽も連れて甘味屋でのんびり 目覚めたらベッドの中に裸Yシャツのネリが 美子、新道寺での自分のキャラについて人形に相談 智紀、一ちゃんの服で…… 清水谷竜華ちゃんで膝枕おもち やえ、ようやく手に入れたKちゃんと京ちゃん連れてクロチャーにリベンジ 姫様、お父様に京ちゃん紹介 監督、コーチでKちゃん談義 姫子、こっそり京太郎とデート ワハハ、安全運転? 京太郎、熱中症で荒川さんとこへ 南浦さん、カツ丼もうなる怒涛のまくり 池田、猫型Kちゃんゲット……? 文堂さん、オリのつもりが役満に…… 赤阪郁乃のKちゃん魔改造教室 すこやん、京太郎が突然、訪ねて来てあたふた キャップ、京ちゃんと一緒にお料理 龍門渕製菓のKちゃんせんべい新発売 偶然出会った京太郎を持って帰って来たオカン 憧、起きたら……
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3753.html
h40-01 京・清澄池衣佳織 助っ人京ちゃん h40-02 京竜 露出プレイ h40-03 京恒みさ裕えり 雀プロものまね大会 h40-04 京えり 癒し屋京ちゃん h40-05 京エイ h40-06 京えり h40-07 京咲優和 h40-08 京絃 h40-09 京怜 h40-10 京初 h40-11 京健恒 h40-12 京怜 スパッツ履き忘れ h40-13 京佳織 麻雀講座 h40-14 京咲 3年最後の夏 h40-15 京淡 h40-16 京咲和優煌 h40-17 京咲 抱き枕 h40-18 京成哩まこ久塞 なるまこ・ゆかいな懺悔室 h40-19 京咲 ハネムーン症候群 h40-20 京久 3年生京太郎 h40-21 京池 腕枕 h40-22 京久 h40-23 京・千里山 不良執事 h40-24 京泉 h40-25 京・清澄 雑用ジャンキー h40-26 京・白糸台 不良執事 h40-27 京咏 h40-28 京・鶴賀 本音京ちゃん h40-29 京穏憧灼 三年生京太郎 h40-30 京姫哩 不良執事 h40-31 京泉 h40-32 京照 h40-33 京咲優和エイ h40-34 京咲 h40-35 京智菫ゆみ h38-49舎弟京太郎のネタ h40-36 京淡 h40-37 京泉竜 h40-38 京桃一 腕枕ネタ h40-39 京玄 h40-40 京洋絹 3年生京太郎 h40-41 京・複数 h40-42 京和 h40-43 京怜竜 3年生京太郎 h40-44 京咲 h40-45 京淡 h40-46 京・白糸台 h40-47 京ワハハ h40-48 京淡 h40-49 京淡 h40-50 京咏えり h40-51 京怜竜 h40-52 京咲 h40-53 京淡菫 3年生京太郎 h40-54 京・千里山・姫松 3年生京太郎 h40-55 京白 h40-56 京智 h40-57 京咲 h40-58 京穏 h40-59 京・阿知賀 h40-60 京洋絹 h40-61 京慕 h40-62 京・千里山 3年生京太郎 h40-63 京・宮守 h40-64 京透 h40-65 京良 h40-66 京憧 h40-67 京咲照 h40-68 京・宮守 h40-69 京豊エリ h40-70 京慕 h40-71 京・清澄 h40-72 京照 3年生京太郎 h40-73 京豊 h40-74 京照菫 h40-75 京憩 h40-76 京まこ h40-77 京泉 h40-78 京和憧 h40-79 京衣 h40-80 京洋 3年生京太郎 h40-81 京咲 h40-82 京照 h40-83 京豊 h40-84 京淡 h40-85 京・清澄 h40-86 京久 h40-87 京・永水 h40-88 京咲 h40-89 京咲 h40-90 京・清澄 h40-91 京白 3年生京太郎 h40-92 京・阿知賀 h40-93 京・永水 h40-94 京照 h40-95 京・清澄 h40-96 京照 h40-97 京ハギ嫁田・清澄・永水 h40-98 京善 h40-99 京和 h40-100 京・複数
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6434.html
トシ(この卓も、一筋縄にいきそうにはないねえ) トシ(様子見しながら、和了っていこうかね) トシ「……ロン、3200」 東二局 咏 100000 親 漫 96800 トシ 103200 良子 100000 漫(東発から直撃とかあかんやろ) 漫(こう見えても私はもう姫松の主将!) 漫(ここで負けとったらみんなに示しがつかんわ!)タンッ! 良子「ロン、8000です」 東三局 咏 100000 漫 88800 親 トシ 103200 良子 108000 咏(ここまで焼き鳥かよ……) 咏(私は勝たなきゃいけねえっつうのによ!)タンッ 咏(この局、でっけえの和了ってやるよ!) 漫「ロン!12000!」 漫「これで原点戻しや!」 咏「う……」 咏(マジかよ……) トシ(次が戒能プロの親か……) トシ(ここで、使っておこうかねェ) 東四局 咏 88000 漫 100800 トシ 103200 親 良子 108000 良子(…………) 良子(手が進まない、ですね) 良子(さっきからムダヅモばかり、これではまるで、インターハイのハツミのようです) トシ「…………」ジロッ 良子(宮守の監督……彼女の師) 良子(おそらく、パワーのソースはあのモノクル) 良子(目的は私の親流しでしょうから、乗っておきましょうか)タン トシ「ロン、12000だね」 トシの【隻眼の老王】の効果が変更されました! 【複合】より、【爆撃】をコピーされました! 【爆撃】(下位) 発動可能回数1回 発動した局のみ、自分の聴牌判定+20、和了判定+70、翻数最低4翻 南一局 親 咏 88000 漫 100800 トシ 115200 良子 96000 トシ(姫松の子はチャンタを軸とした高火力な打ち筋) トシ(私たち相手ならそろそろ爆発してもいい頃だとは思うんだけど……) トシ(こちらの方が、早いみたいだねぇ) 咏「――――ツモ!」 咏「混全帯、小三元、混一、發中、ドラ2!」 咏「12000オール!」 良子(…………) 良子(ここからは、押していきましょうか) 南一局一本場 親 咏 124000 漫 88800 トシ 103200 良子 84000 同コンマのため、流局 南一局二本場 親 咏 124000 漫 88800 トシ 103200 良子 84000 漫(先鋒戦……長いなぁ) 漫(倒してきた先輩方の思いの重圧) 漫(こんなん、インターハイ以来や) 漫(緊張するけど、ここで和了らな!) 漫「ロン!6400は7000!」 漫(この三人に呑まれてまうやろ!) 漫の【爆撃】が発動されました! 南二局 咏 124000 親 漫 95800 トシ 96200 良子 84000 漫(入った!) 漫(混全三色、後はこれでドラが乗ればもっとええんやけど……) 漫「カン!」 漫(うー……ん、乗らんかったか) 漫(他家はまだ誰も動いとらんようやし、リーチはかけずに……) トシ「…………」トン 良子「…………」トン 咏「…………」トン 漫(早速来たな!) 漫「ロン!12000!」 漫(まだまだ続くで!) 【連鎖爆撃】が発動されました! 南二局一本場 咏 112000 親 漫 107800 トシ 96200 良子 84000 良子(……ふむ) 良子(ボンバーガールの流れは、ここで止めておきたいところですね) 良子(…………)ゴッ 良子の【悪待ち】が発動されました! 漫「リーチ!」 トシ(今度は二巡目リーチ……) トシ(塞いでおいた方がよかったかもねぇ) トシ(……どの道、次の局で止まるだろう)タン 漫「ロン!24300!」 トシ(ここが、正念場さね) トシの【防塞】が発動されました! 南二局二本場 咏 112000 親 漫 132100 トシ 71900 良子 84000 良子(……今度はウタに大きい手ですか……) 良子(他の2人に託してみましょう) 良子「チー」 良子「ポン」 良子「……カン」 トシ(なんだい、この鳴き……) トシ(一二三萬をチーして、四索をポン、暗刻の白を大明槓) トシ(切羽詰まりすぎじゃないかね……?) 良子「ポン」 トシ(九索……これで最大でも三翻ってことかぃ) トシ(……?この打ち方、確かインターハイで……) トシ(…………この辺り?)トン 良子「イグザクトリー――――」 良子「ロン、1900」 トシ(他家の大物手を警戒しての鳴き、ね) トシ(一応乗ってはあげたけど、次も成功するとは思わない方がいいよ) トシの【爆撃】が発動されました! 南三局 咏 112000 漫 132100 親 トシ 70000 良子 85900 良子(プロフェッサー熊倉のターンですが……) 良子(挑ませてもらいましょうか) 良子「リーチ」 良子の【大回転リーチ】が発動されました! 良子(また、ムダヅモですか)トン 漫(……なーんか、急に有効牌が来るようになったなー) 漫「カン!」 漫(嶺上牌まで有効牌か……私も捨てたもんやないな!) 良子(また、ですか……)トン 漫「ロン!16000!」 南四局 咏 112000 漫 148100 トシ 70000 親 良子 69900 良子(最下位で次に繋ぐのは極力回避したい……ので) 良子の【悪待ち】が発動されました! 咏(プロと四万点差で勝って、二年生に三万点差をつけられてる) 咏(こんなんで、あのバカに任せられるかよ!) 咏「リーチ!」 恒子「おーっと!ここで三尋木選手がリーチ!」 えり「三暗刻、混一、中で跳満、裏が乗れば倍満まで届くでしょうね」 恒子「学生に好き勝手やられて、大人は何してんでしょうかー」 えり「福与アナ、自重してください」 咏「ロン!12000!」 漫「…………最後の最後で……」 先鋒戦終了 二年生B 136100(+36100) 一年生B 124000(+24000) 教員 70000(-30000) プロ 69900(-30100) 咏「たっだいまぁっー!」 穏乃「おかえりー咏ー!」 淡「次は私の番か~一番だったらもっと楽だったんだけど……」 淡「そっちの方が目立つからいっかー!」 咏「つまり私はお前の温め役だってことかよ、あぁん!?」 淡「実力の面からしてもとーぜんだよ!」 京太郎「はいはい、二人ともそこまでにしとけー」 京太郎「咏は頑張ったんだし、淡は負けないように頑張って来い、喧嘩はひとまず中断だ」ナデナデ 咏「……ちっ、しゃあねえな」 淡「うん、頑張る」 京太郎「よし、じゃあ行って来い!」 淡「リーチ!」 はやり「それロン、12000!」 淡「ちょっ!ってかそれ人和じゃん!二回目じゃん!」 霞「――――ツモ、16000オール」 次鋒戦終了 一年生B 124900(+900) 二年生B 123600(-12500) 教員 83400(+13400) プロ 68100(-1800) 淡「あ、きょうたろー!」 淡「逆転してきたよー!」 京太郎「おう、よく頑張ったな」ナデナデ 淡「んへへ~凄かったでしょ~」 京太郎「ご苦労さん、後は俺と咲が頑張って来る」 京太郎「淡たちは、応援していてくれ」 淡「うん!頑張ってね、きょうたろー!」 京太郎「……あんがとな」 京太郎「んじゃ、行ってくるわ」 淡「行ってらっしゃい!」 京太郎「……あ」 淡「どしたの?」 京太郎「ほんと……さっきはごめん」 淡「もう赦したんだからいーの、じゃあね!」 京太郎「ああ、じゃあな!」 京太郎「さて……っと」 京太郎「俺が一番乗りかな……?」 尭深「…………」ズズッ 京太郎「お久しぶりですね、渋谷さん!」 尭深「……あ」 尭深「久しぶりだね、お兄ちゃん」ニコッ 京太郎「」 京太郎(まだそのノリ続けるの!?とか) 京太郎(今は大人しめなお姉ちゃんキャラがいいです!とか色々ツッコみたいけど) 京太郎(それ以上に可愛いぃぃぃぃぃいいいい!) 京太郎(こちとら先輩ばっかだから後輩とか年下との絡み無いし、あったことないし!) 京太郎(それ故に新鮮、それ故に可愛い!) 京太郎「ブフォッ」 尭深「あ、え、あ……大丈夫、須賀くん?」 京太郎「ええ、大丈夫ですとも……」 京太郎(良かった、お兄ちゃん呼び止めてくれて) 京太郎(さもないと鼻血で死にそうになるわ) 京太郎(……少しさみしいけど) 尭深「席、決めたら……?」 京太郎「そうですね、まだ誰も来ないみたいですし……」チラッ 理沙「!」ピクッ ガクガク 京太郎「の、野依プロ?ドアの前で何を……」 理沙「兄妹水入らず!」プンスカ 理沙「じっ、事情はいろいろある!」プンスカ 京太郎(何か誤解されてた!?) 副将戦開始 東一局 親 京太郎 124900 ※体力9 理沙 68100 ※体力9 善野 83400 ※体力9 尭深 123600 ※体力9 京太郎(……最初っからラッキーだな) 京太郎(ダブリー清一ってなんだこれ) 京太郎(偶に自分が恐くなるぜ) 京太郎(……今回もやってやろうじゃあねえか) 京太郎「リーチ!」キィィィン 京太郎(いきなりクライマックスだぜ!) 善野(須賀くんがダブリー……) 善野(今朝の一件のときもそうやったけど、この子は途轍もない) 善野(このダブリーも、大物手みたいやし) 善野(何とか凌ぎ切ればええな……っと) 京太郎「――――ツモ」 京太郎「ダブリー一発清一、三暗刻」 京太郎「12000オール!」 理沙「!?」 理沙(リザベーション、成功!) 対局者の能力レベルが下がった! 東一局一本場 親 京太郎 160900 ※体力9 理沙 56100 ※体力9 善野 71400 ※体力9 尭深 111600 ※体力9 京太郎(この一年間、いや、八か月か) 京太郎(俺はほぼずっと麻雀をしてきた) 京太郎(色んな人と対局したし、いろんな本も読んできた) 京太郎(その本のうちの一つに書かれてた技術) 京太郎(他の人の力を真似る技術) 京太郎(俺はまだ、全然できていないけど) 京太郎(力を貸してください、憩さん)ピキィィィィイイイン 京太郎(……この手) 京太郎(もうちょい粘れば平和一盃口ドラ2くらいにはなるんじゃないか?) 京太郎(とりあえず聴牌だけでもしとっかな)タン 理沙(須賀……京太郎……) 理沙(いつものツキが無いのも、この人のせい?) 理沙(……そんなわけないっか) 京太郎「……ツモ、600オール」 東一局二本場 親 京太郎 162700 ※体力8 理沙 55500 ※体力8 善野 70800 ※体力9 尭深 111000 ※体力8 京太郎(結局ツモのみで和了しちまった……) 京太郎(連荘狙いってことでいいよな、うん) 京太郎(じゃ、次もそれで行ってみるか!)ゴッ 理沙「カン!」プンスカ 理沙「カン!」プンスカ 理沙(カンドラ二つとも乗らず……!) 善野(野依プロは確か、新道寺の白水鶴田コンビと似たようなオカルト持ちやったっけな) 善野(和了者と翻数を予想するリザベーション、リザベーションというよりかはエクスペクテーション) 善野(なんにせよ、気をつけなあかんやつや……)タン 理沙「ロン!8600!」プンスカ 善野(うっわ……) 東二局 親 京太郎 162700 ※体力8 理沙 64100 ※体力6 善野 62200 ※体力9 尭深 111000 ※体力8 理沙「ツモ!700オール!」プンスカ 理沙(リザベーションは失敗……) 善野(あかんなぁ……白糸台の子がどんどん潤っとる) 善野(なんとかして途切れさせたいんやけど……) 東二局一本場 京太郎 162000 ※体力6 親 理沙 66200 ※体力5 善野 61500 ※体力8 尭深 110300 ※体力6 理沙「けほっ」 理沙「……」タン 善野(ようやく回り始めたかー) 善野(私と打つ人は打てば打つほど体調が悪うなる) 善野(それにつれて配牌やツモも悪うなっていく) 善野(いわば不幸のウイルスみたいなもんや) 善野(このことを知ってるのは郁乃ちゃんか愛宕さんしかおらへん) 善野(まだまだ、私の勝負どころやないんやで) 京太郎「ツモ!500・900!」 東三局 京太郎 163900 ※体力6 理沙 65300 ※体力5 親 善野 61000 ※体力8 尭深 109800 ※体力6 善野(……ん、ツモってもうたか) 善野(ピンピンロク、毎度毎度中途半端な点数やなぁ) 善野(毎局連荘で危ないけど……) 善野(和了っとかな損やろ) 善野「ツモ、3900オール」 理沙(四翻……成功) 東三局一本場 京太郎 163900 ※体力5 理沙 65300 ※体力4 親 善野 61000 ※体力8 尭深 109800 ※体力5 善野(……にしても、やっぱりおかしいのは須賀くんや) 善野(普通、プロともあろうものやったら持っとるはずの一般人とはかけはなれた豪運) 善野(しかし、野依プロが和了ったのはあまり高くないものばかり) 善野(早さも何もない手ばっかやった) 善野(白糸台の子にそんなオカルトがないことは確認済み、有り得るとすれば須賀くんしかおれへん……) 善野(……っと、ホンマか) 善野(また連荘やないか……) 善野「ツモ、6300オール」 東三局二本場 京太郎 157600 ※体力5 理沙 59000 ※体力4 親 善野 79900 ※体力8 尭深 103500 ※体力5 善野(まだ東三局やのに八局も使うとる) 善野(こっからやと少なくともオーラスまで十二局) 善野(あらかじめ国士無双十三面とか仕掛けられとったら危ないなぁ) 善野(……十四牌揃ってまえば、防ぐことのできひん天和) 善野(せやったら、それよりも多く稼くべきやね) 善野「ツモ、2800オール」 東三局二本場 京太郎 154800 ※体力3 理沙 56200 ※体力2 親 善野 88300 ※体力7 尭深 100700 ※体力3 善野(これを和了れば、9600の二本付け) 善野(……さすがにこわいな) 善野(このまま流してみるのもありやろか……) 善野(他の二人もテンパイしてるみたいやし、もうええか……) 東四局二本場 京太郎 156300 ※体力3 理沙 57700 ※体力2 善野 89800 ※体力7 親 尭深 97700 ※体力3 京太郎(善野さんの連荘がようやく終わったか……) 京太郎(……っ) 京太郎(さっきから頭痛がするな、こんなときに何だって言うんだよ) 京太郎(お、っと) 京太郎「ロン、1000は1900です」 京太郎(ようやく折り返しか) 南一局 京太郎 158200 ※体力3 理沙 55800 ※体力2 善野 89800 ※体力7 親 尭深 97700 ※体力3 京太郎(開いてきたリードは、ちゃんと守らないとな) 京太郎(親だし、本気で行くぞ!)ゴッ 京太郎(く……っ) 京太郎(久しぶりだな、この感じ……) 京太郎(力の波に、もまれていく) 京太郎(憩さんの力使った後だっての忘れてたな……) 照『京の力は、海みたいなもの』 京太郎『海?』 照『そう、金色の光を放つ海』 照『京と打っていると、懐かしい気持ちになる』 京太郎『懐かしい気持ち?』 咲『麻雀を始めたころの初めての気持ち』 京太郎『なんだそりゃ?そんなオカルトありえねえっつーの』 桃子『それが京太郎のわけのわからない強さなんっすよ』 京太郎『強さっつっても大して勝ててないし……』 照『それは京の運が悪いだけ』 京太郎『えぇ……』ズーン 照『たとえると、私たちは海の中にいて、京は海の上に立っている』 照『私たちは、麻雀の深みに嵌っていくほど、その奥底で宝物を見つける』 照『だけど、そこから出ることはできなくなる』 照『深みは、高み』 照『高い所を目指せば、色々なものが見えてくるけれど』 照『足元は、見えないんだよ』 照『原点の気持ち、初めての気持ち』 照『京はいつも麓に立っていて、水平線に立っている』 照『京と打っていると、京に呼び止められるような感じがする』 照『そうして、私たちは京に連れ戻されて水平線に立つんだ』 照『海の底から放たれる宝の金の光』 照『水平線を伝い、海に放つ、始まりの朝焼けの金の光』 照『私の鏡から見た景色は、金色を放つ海』 照『それが、京の力』 京太郎(……とか、昔言われた気がするな) 京太郎(俺だって潜ることはできるけど、その時間は短く限られている、とか) 京太郎(よくわかんなかったけど、見てみたいと思った) 京太郎(宝の金色と、朝焼けの金色に挟まれた海) 京太郎(金色を放つ海) 京太郎(俺を、鏡から見た景色) 京太郎(…………ここは、ダメっぽいな) 善野「ツモ、2000・4000」 南二局 京太郎 154200 ※体力2 親 理沙 53800 ※体力1 善野 97800 ※体力7 尭深 95700 ※体力2 理沙「げほっ、ごほっ!」 尭深「ずずっ」ズズッ 京太郎「っ……」 善野(三人とも、もう判断力も十分鈍っとるやろ) 京太郎「カっ、カンっ……!」 善野(須賀くんの手、低そうやな……) 善野(早めに差し込んどこか) 京太郎「ロン、えっと、2900です」 南三局 京太郎 157100 ※体力2 理沙 53800 ※体力1 親 善野 95900 ※体力7 尭深 95700 ※体力2 善野(ああ……でっかいのが迫って来てる感じ、するわ) 善野(こっちのオカルトのが負けそうやな……) 善野(流しとこか) 南四局一本場 京太郎 157100 ※体力0 理沙 53800 ※体力0 善野 95900 ※体力6 親 尭深 95700 ※体力0 尭深(今日は……豊作) 尭深(豊穣は民を癒す) 尭深(癒された民は、土地を豊かにする) 【収穫の時】が発動されました! 京太郎(確か、ここまでの渋谷さんの捨て牌は、白、南、中、白、發、南、中、中、白、發、發、南、南) 京太郎(最大で天和四暗刻単騎大三元字一色の六倍役満……!?) 京太郎(この大会はダブル役満無しやからいいものの、なんだよそれ) 京太郎(オカルトにも程があるだろ!) 尭深「……」トン 善野(案の定、南捨てか……) 善野(字牌一つもあらへんし……こんなん当たっても事故やん)タン 尭深「ロン、48300」 補正が弱くなりました! 南四局二本場 京太郎 157100 理沙 53800 善野 47600 親 尭深 144000 尭深「……」 尭深「カン」 理沙(リーチは無し、今回は引ける牌と、一つでも捨てられる牌を増やそうってことね) 理沙(手牌バレがあるとはいえ、待ちは狭いがわからない) 理沙(……まあ、プロを舐めないでほしい) 理沙(一巡目聴牌は、あの日に見飽きたから!) 理沙「ポン!」 ポン:二筒 尭深「……っ」 理沙(ムダヅモ、その手牌、一巡目の捨て牌でムダヅモになる牌なんて決まっているよね) 理沙「ロン、清一のみ!8600!」 善野(二筒鳴いて地獄間張待ち……か) 京太郎(なんつー豪運……) 理沙「終わり!」ムフー 副将戦終了 一年生 157100 (+32200) 二年生 135400 (+11800) プロ 62400 (-5700) 教員 47600 (-35800) 京太郎「はぁ……疲れた」 京太郎「最初の三倍満のほかに和了ったの小っちゃいのばっかだったし……」 京太郎「俺の三倍満なんて渋谷さんの役満と野依プロの満貫、善野さんの連荘で薄れちゃっただろうし……」 京太郎「春のおっぱいに癒されよう……」 咲「なに落ち込み気味に変なこと言ってるの!」 京太郎「うげぇ、咲ぃ!?」 咲「頑張ってたから褒めようと思ったのに……」ムスッ 京太郎「俺、頑張ってるように見えてたか?」 咲「放銃も少なかったし、良かったと思うよ」 咲「最初の三倍満、かっこよかったよ」ニコッ 京太郎「あ、ああ、そう言われると……なんか照れるな」ポリポリ 咲「じゃあ、ちょっと……」ギュッ 京太郎「さ、咲さん?なんで抱き着いてるんですかね?」 咲「京ちゃんのパワーを……こう、吸うというか……」ムギュー 京太郎「……お前、力弱いな」 咲「昔より握力2kgくらい増えたんだからね!」 京太郎「うわぁ、咲さんったら凶暴ー」 咲「グーで殴るよ?」ニコッ 京太郎「それ恐いんでやめてください、いやマジで」 京太郎「……ねえ、いつまでこうしてるの、お前」 咲「もうそろそろ、かな」 京太郎「鼻水つけたりしたら承知しねーぞ」 咲「京ちゃんは私のこと何だと思ってるの!?」 京太郎「ちんちくりん」 咲「何その評価!?」 京太郎「まあほら、咲は小っちゃくって撫でやすいな、と」ナデナデ 咲「むぅ……」 「各チーム大将の選手は対局室に集合してください」 咲「じゃあ、行ってくるね」 京太郎「ん、任せた」ナデナデ 咲「頑張って来るから、見ててね」ギュッ 京太郎「おう、行ってこい」 /. . . \ /... . . . ヽ . . . . /. . . ヽ . .. /. . . /. . . . /l ハ. . . l. . . /. . . . / | l . . .l. . .| |八{. . .fレ'\ |. . /j. . . . /i. . . | . . .l. . .| ,...---ミ //∧. ハ_〉ぅ `l. . {/. . . ,'斗―|. . . . .リ. . ′ / ̄ ̄⌒>=弍犲ハ 斧ミメ乂 彡イ ./ /. . . . /. / / / ` ̄`} `''’ f斧ミメ イ/./ } 「お待たせいたしました」 _ -―へ ' `''”.∠/// / / / / . 个 ー <r< / / .{ / j i { ¨¨´/' /j 「 \ 二年生Bチーム 大将 r'⌒ | // | ヾ 〃_彡リ | ヽ / ̄` ー--rヘ { 乂〃. ヽ/ ̄/ ̄ ̄`7 / ∧ 神代 小蒔 / /⌒ヽ __/ У / /Y ./ / / У / ./ / ト、 / 〉. / r'  ̄ / / { / / } V 厂ヽ 厶斗- ' __彡 / 乂 / / / ト---<ソ⌒ ./ / }ト、/ / / 〉こ{ / }三ニ=-- --=≦ / } ___ , . . .´ . . . . . . . . . .`丶 / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ / . . . / . . . / /| . . .ハ . . . . . . . . .ヽ ′ . . | . ./}/ |/ V}∧ . . . . . . i . | . . .Ⅳ ノ` ー-、__.Ⅵ . | | . | . . .| ー‐'_ __ | . . | | . | . . .| ,ィfチ芋 斧テ式.| . . | | . | . . .|《 V ソ V ソ 》 . . .| (おっぱい、大きいなぁ) | . | . . .ハ , } . . .| | . | . . .l .{ ノ . . | l . . . . | . ヽ. ⊂⊃ / . . . . | プロチーム 大将 | i| . .i . . | . . .i ___ ..ィ .i . i . | . .| {八 . . | . ..| . i .| | . }ノ ./| . | .,′ 小鍛治 健夜 ヽ{\|斗' ー i/._|/|/ -┬┬'、__ ̄`___´ ̄_/⌒7⌒ヽ / | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / / } --……-- r―‐⌒ヾ \ |∨ \ \ |/゚ 。 \. . . . . . . . . . . . . . . / \ . . . . \ . . . . . . . . . . . . . . 。 // / \ . . . . . . . . . ` .o。 . . . . . . . . . . . i ゚. /イ / . . .イ . . ー┬--- . . . __ .` . .o。 . . . . .|. ..。 i{ | ′ . .'{_|_ . . . | リV . . . . . . } .>匕、 \j--i || |/ . . ∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、 . .\}、 リ { . . . .|! ‘, ィ芹≧ュ ’|イi//| 》、 。 . . .ぃ、 「お久しぶりです、小鍛治プロ!」 | . . . . .「`ヽ《乂_゚ツ ゞ= '゚ リ/リ゚。 . .ト、i | . . . .小 , , ' , , / . . .∧ .} リ l. . . . . | }ゝ-! jハ . . . j/} .| 教員チーム 大将 。. . . { { j 八 -==ァ イ }/ j ノ ゚ 。.リ \{≧ュ。. ィ jソ ″ / 赤土 晴絵 ゞ イニ} ` ´ {ニヽ ィニ// ゝ|ニ\_ ┬==≦ニ/ニ7____ __,.|ニニムニニニニニlヽ /ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム. /ニニ |ニ7ニニニニニ| |ニニニニ}ニニニ=|ニム _....................._ ,. ´ ` .、 , ´ ,. \ / / , ´ ヽ / / / , , . .' / / / / ,.イ / | | . | 〃 / /- /-、/ ' ' ' | | | ∧ }'.' /^/ / { / { / / / / } | | | . { | { | , /' /' /イ//' -/、 ' ト . Ⅵ 、{/ィ=ミ、 /' / イ / , | \| 「よろしくお願いします!」 | 从 . . . . . _ /イ / , .| / Ⅵ ' `ヾ / イ /} / ______| 、 「 v . . イ / イ/イ 一年生Bチーム 大将 /<_ \_ `ーr---- =彡j/ {¨7=ミ、< 、 \___〉>、 宮永 咲 _| , ∨、 ` < 、 ∧ | ヽ / ̄ // | }、 . . . \、 . | /〉、 \___ 〃 | / \ . . .\、 Ⅵ /イ ∧  ̄¨/ ∨ `ー ≧='-´ / ハ . / / {二「 } | ' ∧ / . ∧ , / / } / . .〈 .∧ { | , / | / . . . .∧ . | | | 恒子「いよいよ!いぃよいよ!いよいよ!」 えり「なんで三回も言うんですか」 恒子「え……大事なことだから?」 えり「まもなく、プロ・アマ合同戦、決勝戦、大将戦開始です」 恒子「それ私が言うつもりだったのに!」 起家 健夜 62400 小蒔 135400 咲 157100 晴絵 47600 東一局 小蒔(この小娘の身体に憑くのも久しいのう) 健夜「…………」トン 小蒔(……ほう)トン 晴絵「…………」トン 咲「……」トン 小蒔(中々腕の立つ者がおるではないか) 小蒔(あの巫女共に感謝せねばならぬなァ) 小蒔(いざ、行かんや)ゴッ 咲「!」 晴絵「!」 健夜「……」 小蒔「ツモ」 小蒔「3000、6000」 東二局 健夜(永水、霧島の巫女さん……名前は……確か……) 健夜(…………) 健夜(わからないし、無理に思い出す必要もないよね……) 健夜(これは……時間稼ぎに徹しようかな) 健夜「流局です、九種九牌」 東二局一本場 咲(京ちゃん、咏ちゃん、淡ちゃん、みんなが作ってくれた点差、これを守り切れば) 咲(たとえ、勝てなくても) 咲(……負けなければ、いいんだよね)ゴッ 咲「――――ツモ」 咲「700、1300の一本場は800、1400」 東三局 晴絵(宮永咲に神代小蒔、どうやら神代は最高のコンディションみたいだし) 晴絵(宮永の方も、あのチャンピオンの妹だから、下手に攻めたら負けるだろ) 晴絵(堅実に攻めるしかないよなっ!) 小蒔「リーチ」 咲「チー」 晴絵(一発消し、か?) 晴絵(小賢しいけど嫌いじゃないね……うっと、裏目っちゃったかー) 晴絵(神代の和了りパターンとしては染め手が多い) 晴絵(筒子の染め手に直前に出した九萬なら……)トン 小蒔「……ロン、16000」 晴絵(いや……マジか) 東四局 晴絵(ようやく来た親番!) 晴絵「リーチ」 晴絵(和了らせてもらいますよ、小鍛治プロ!) 健夜(今の和了り……) 健夜(狙ってやったのかな……?)トン 晴絵「ロ……ロン!」 晴絵「一発ドラドラ!12000!」 健夜(何してるの私ー!?) 東四局一本場 小蒔「……」ウツラウツラ 小蒔「ハッ」 小蒔(え、もう東四局、ですか?) 小蒔(また、たっぷり寝ちゃっていました……)タン 健夜「ロン、8300です」 小蒔「え……まだ一巡目……ですよ、ね?」 健夜「はい、それが何か?」 南一局 健夜「リーチ」 晴絵(人和に続いて、小鍛治プロのダブリー……マズイな)ゾクッ 晴絵(あの頃を、思い出す……っ!)タン 健夜「ツモ、8000オール」 南一局一本場 健夜「リーチ」 小蒔(初めから……)トン 咲(…………)タン 晴絵(……ふふっ) 晴絵(嫌だな……) 晴絵(まだ、体が怯えている……)ゾクッ 晴絵(来年からまたあの舞台に立つってのにさ……!) 晴絵(今日、克服してやる!) 晴絵「リーチ!」 健夜(一発……ならず)タン 小蒔(な、なんだか、雰囲気が恐いです……)タン 咲「カン」 咲「もいっこ、カン」 咲「……嶺上ツモ、5200は5500の責任払いです」 南二局 健夜「リーチ」 咲「ポン」 咲「……」タン 晴絵(また一発消し……か?) 晴絵(まあ、無筋の三萬が通るのは、ありがたい!)タン 健夜「ツモ、3000・6000」 南三局 健夜(さっきのは掴まされたツモ) 健夜(あのポンは、ずらすため、その捨て牌は赤土さんのものも通るようにするため) 健夜(……だろうけど、どうしてそんなことをする?) 健夜(そこまで感じたなら、赤土さんか神代さんが振り込むのを待てばいいのに……) 咲「カン」 咲「もいっこ、カン」 咲「ツモ、1500オール」 南三局一本場 晴絵(小鍛治プロも神代も一段落ついたみたいだな……) 晴絵(……もうオーラスまで一歩手前) 晴絵(できれば、このチームで勝ちたい) 晴絵(……どうしても、小鍛治プロには勝ちたい!) 晴絵「リーチ!」 晴絵(十年前の借りを、今ここで返す!) 咲(…………) 健夜(赤土さんとインターハイで打ったのはもう十年前……) 健夜(あのときにへし折ったと思ったんだけど、プロとして復活していて、安心した) 健夜(私が目標だったのかな) 健夜(……そう簡単に、負けてあげるつもりはないよ) 咲「ポン」 晴絵「……」タン 健夜(宮永さん、また……?) 健夜(……赤土さんのツモを狙っても、自分が親被りするだけなのに)タン 咲「ポン」 咲「カン」 晴絵(かき回されてるな……) 晴絵(とは言え、一気にドラ3!さっきからありがたい!)タン 健夜(赤土さんのツモは無かった) 健夜(ツモ狙いでないとすれば、私に振り込ませようとしている……?) 健夜(そんなことするくらいなら、神代さんにした方が有利になるから、違うか……)タン 晴絵「ロン!」 晴絵「リーチ一通、赤2ドラ4……裏裏!」 晴絵「24300!」 健夜(三倍満……!?) 健夜(伍六七筒の一順子に併せて索子の六面張) 健夜(油断しすぎた……っ) オーラス 晴絵(小鍛治プロから倍満と三倍満の直取り!) 晴絵(……よくやったな、私) 晴絵(あの子たちにも、感謝しないと) 晴絵(みんなのおかげで、私はここまで来れた) 晴絵(最後まで勝ち続けてやるよ!) 咲「……」タン 晴絵(混一まで見える手だけど、この白を逃すのは勿体ない……) 晴絵(連荘するか……) 晴絵「ロン!3900!」 オーラス一本場 晴絵「……テンパイ」 健夜「テンパイ」 小蒔「テンパイです」 咲「ノーテン」 オーラス二本場 晴絵(なんとかノーテン罰符で稼げたし、あの二人の満貫も受けずに済んだ……か) 晴絵(まだ……連荘!) 晴絵「ロン!1500は2100!」 オーラス三本場 健夜(宮永さんがしてきた不可解な鳴き) 健夜(東三局のそれは、おそらく赤土さんの危険性を考えたから) 健夜(南二局は、神代さんの収支を減らすために親被りにさせた) 健夜(唯一わからないのが、南三局の鳴き) 健夜(……今まで亜空間殺法の使い手とは打ってきたけど、宮永さんは違う) 健夜(牌を自分の思うように動かすだ、なんてとても私にだってできない) 健夜(それも、全盛期から力を落とした私には無理……) 健夜(まるで全ての牌が透けているかのようなオカルトと、鳴きで牌を動かす技術) 健夜(オカルトと技術から成る完全結晶) 健夜(それが……) -=ニ二ニ ニ二二二二二二二 二二二二 二二 二二ニ ニ二二二 ニ二二二 ニ二 ニ二二ニ ニ二二  ̄ ____  ̄ニ二二ニ ニニ 二二 ニ二ニ ニ二二二二二ニ 二二ニ ニニ 二二 ニ二 ┐  ̄ニ二二二二ニ= ニ二 二ニ 二二 / /  ̄ニ二二二ニ ニ ニ ニ二二 / / /...-―≠ニア{  ̄ニ二ニ ニ二ニ ニ二 /{ / -=<.. 二ニ 二ニ ニニニ ニ ニ二 二{ ∨ -=く \二ニ ニ二 二二二二 二ニニ 二二〉 / \⌒ ニ ニ二二ニ 二ニニ= 二/ / \ \二ニ ニ 二二ニ ニニ= / / / .⌒丶ニ __二二二二ニ ニ= ⌒i | | | | | | | | |乂__ / . |二二ニニ =ニ ニ二| | | l | | l l | | l | l | l l | ̄/ |二二ニニ ニ二. 二| | | l | l l l | l\从 l | l l l/ /二二ニ 二二二ニニ 二|从 | 从八从乂{´廴}乂 从劜 ./二二二二二ニ 二ニ=- 宮永咲…………!! ニニ. 二二)イ 圦 , ∧/---- __ _/二二二二二ニ 二二ニ= 二ニ= =ニ二 ニ= 二}//> . - . イ /´ ̄∨ ̄ ̄\二ニニ 二二ニニ=ニ二二ニ 二二二 ___∠{ | ̄ _」 ./ l| | |__ 二二二ニ ニニニ ニニニ // ∧ .ー―. /} ___ } リ リ =ニ二二二ニニ 二ニ= =ニニニ ノノ \{ {\ . . /ニ/ l/ ̄\__彡'-- 、 \ニニニ==ニ二二ニ 二二 { {  ̄ハニ、 _ _, .//ニニ/ |ニニニニニニニニニニニ二\ \ニニニ二ニ ニ二 二=/\ ___/二|`ー ‐┼┼≦___} -=ニ三三三三ニ=- \ \二ニニ 二二ニ/ / ̄ ̄ 二八 ,{三三三三三三三≫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄` \ニニ 二 ´ /二ニ =ニ二二} \三ニ=- ̄{ ̄ ̄ =ニ二二ニ== \ニニ / / 二ニ ニニニニ| \三三三ニ=- __ -=ニ二二二ニ二/ /二ニ= =二 二二ニ _| /≧=====┬=ニ三三三ニ=- ニニニニニニニ. / =ニニ二二 二二二ニニ/ {廴___/´ / ̄ ‘, ___ .... . -――-/ /ニニニ二二二二____. . | \ ___/ --- ‘, / ./ } _ _ _/ ,/ニニニ / ̄ ̄/ / 人  ̄ ̄ / | \  ̄ / / / 咲「ポン」 咲(麻雀が弱くなった京ちゃんのために編み出した技術、プラスマイナスゼロへの点数調整) 咲(勝ちも負けもしない技術) 咲(今回は使い方も違うし、収支もいつも通りのなら-5だけど……) 咲「カン」 咲(みんなのリードを守る、みんなのために戦っているんだ、って思うと) 咲(こんな打ち方でも) 咲「もいっこ、カン」 咲「ツモ」 咲(すごく、楽しい) 咲「1600・2900」 咲(……そう思える) 最終戦決着 一年生 157300 (+200) 二年生 117800 (-17600) 教員 66600 (+19000) プロ 60800 (-1600) 咲「ただいまー」 京太郎「お疲れ、咲」 淡「お疲れー」 穏乃「お疲れ様!」 春「おつかれ様」 咲「咏ちゃんは?」 京太郎「お母さんから電話だ、って出て行った」 咲「そっかぁ……あ、この後チームのみんなに取材したいって」 淡京「「いやーついに来ちゃったかー」」 淡京「「ようやく私(俺)の良さに気付いたってことだね(な)ー」」ウンウン 咲「あはは……仲良いね」 穏乃「……それって、私が出てもいいのかな」 春「……穏乃も私たちの仲間」 咲「穏乃ちゃん、私たちのこと一生懸命応援してくれてたもん、誰も気にしないよ」 京太郎「そうだそうだ、んな暗いこと考えんの穏乃らしくないぜ」 穏乃「……ありがとね、みんな」 淡「ほら早く行こーよ!サキも、シズも、ハルも!」 穏乃「うん!」 咲「確か……こっちだったっけ」 春「……きょうたろう、来ないの?」 京太郎「ん、ああ、咏が来るまで待つよ。春たちは先に行っててくれ」 春「うん」 咏「咲、ごめ……およ?」 京太郎「他はみんな取材行ってるよ」 咏「あー……おっけー」 咏「んじゃあ、京太郎は私のこと待っててくれてたん?」 京太郎「そうだよ、誰か待ってねーとだし」 京太郎「それに……お前のことも聞きたかったし」 咏「……やっぱり、そーゆーことだったんだねぃ」 咏「あいつ、清々荘、戻っていいって言ってくれたぜぃ」 咏「……あと、京太郎くんと仲良くってね」 京太郎「…………」 咏「……京太郎?」 京太郎「よっっっっっしゃぁぁぁぁぁああああ~~~!」 京太郎「これで、これでみんな戻って来てくれた!」 京太郎「ありがとう、咏!」ギュッ 咏「うわっ、はぁっ、いやっ、ちょっ!」カァァ 京太郎「よかった、よかったぁー!」ギューッ 咏「そ、そんなに抱き着かれたら、匂いとか、心音とか、色々聞こえてきてドキドキするだろ!はははは放せよ!」カァァ 京太郎「嫌だーっ!」ギューッ 咏「いい加減にしろー!」カァァ 京太郎「……ごめん」 咏「TPOを考えろよな」 京太郎「咏が戻って来てくれるのが嬉しくて……つい」 咏「…………」 京太郎「怒ってる……か?」 咏「お、怒ってるわけねーだろ!」 . . -――‐- . .. ´ ` .、 / \ / \ / i | . / | | | | . ′ | | | | | | . l | | . l从 ト、 . | | . | l | | . | \ 、_ _|__\ 」 | . | | l | .|_ _; イ  ̄ ̄__ _,)ハ . | . | | | i l i∧ l___ 斗斧i^狄 | . | | | | | ∧ 「苅 V以 } ノ . . .| i . . | まあ、今度やるときは、もうちょっと雰囲気あるときにっつーか…… | | | iハ |i以 ,,, j/ .| | . . | | | | |. l | ,, ' / | | 从 l八 八 八人 v ´} / 八| \__ \|\ \≧ .. .._ ー/ .イ | . Χ⌒ |\ \ -- / _ -‐<※| | \ \__ _ |/⌒>\/斤/...(※)......リ ト、 i\ 「 ̄` /※)..|| /※|...(※/ |../※).....+...// 八..\ . . .| )' /※)...... ||三三三三三三三|...+.../... { /......(※∨ | /※)..... (※||/..+......|※)l.| ∨※./...(※| /....+./.... Ν /※)..(※)..+ /リ.....(※ノ......从{\{...../...(※)....| /...../... (※|. /※)..+.... (※//......... /......./.. ※)...../....... +(※|'... /.... (※)...| /+....(※).. +...〈/..(※)/...+./※)....+../※)..... +........./..※)... +.. | {※).......+......(※∨.......i..... /.+.....(※/+........(※)../...{...+.......(※).|. ∨...(※)+......(※∨... |......{....(※).../....(※).....+...∨{.... (※/ +...| ∨ ...... (※)......+∨. l‐''┴――┴―――――''| .... /...(※|. |...(※)...+.. (※).∨| i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i|..../.. (※).. |. |+........(※)..... +... ‘| i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i il../ ...... (※..| 咏「……知らんけど」プイッ 京太郎「えっ?」 咏「は、早く行くぞバカ!」カラコロ 京太郎「ちょ、待てってー」 咏「るっせーっ、バーカ!バーッカ!」カァァ 咏が清々荘に戻ってくることになりました! 京太郎「春のやつ、黒糖こぼしすぎだろ……」 京太郎「淡も寝そべりながらクッキー食べてるから散らかってるし……」 京太郎「……穏乃はあの恰好でソファに座ってたんだよな……」 そう喉を鳴らしながら、俺は一人で控室を片づけていた たった半日とは言えどお世話になった部屋なんだから綺麗にしないとな 咲たちには先に帰っていてくれ、と頼んでおいたので待っている人もいないだろ 京太郎「っし、終わりっと」 控室から出ると、廊下には誰もおらず、それを照らす蛍光灯が寂しさを醸していた フロントに出てみても、ある程度の照明は落とされていて、祭りが終わった後のような物悲しさを感じる 今夜は清々荘でクリスマスパーティー…… 京太郎「やべっ、早く帰らねえと」 チームのメンバーとはまたいつか飯を食べに行こう、今日はあいつらに予定あるだろうし ゆっくりと開く自動ドアの間から、冬の寒風が吹き込んできて、思わず身を震わせる この時期は迂闊に自転車を使えないから困る、越してきてから使ってないけど などと考えつつドアを通って、顔を上げると…… そこには――――